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若き亀やん、再び!(シリーズ3麻雀編)
【コメディ その他小説】

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狂気の時間帯-1

「に、西ちゃん…、ど、どうしてこんな姿に…」

オレの言葉に反応したオクレ社長は、支配人を見た途端そのちっちゃい目を見開きつぶやいた。

アホか?オマエがやったんやんけ…

しばらく放心状態で支配人を見ていたオクレ社長は、おもむろにそのちっちゃい目でオレを睨みつけて怒鳴った。

「た、竹林くん、どないしてこんな事になったんや!」

た、た、竹林―!それって誰やねん!

「どないもこないも社長がやったんでしょ」

「なんやと!開き直りよったな!元はと言えばキミが西ちゃんとナニしたからやないか!」

うっわ、汚いなあ、唾をとばすな唾を!

「『ナニした』て、何をアホなこと言うてるんですか。オレはそんな趣味ないですよ」

「そしたら何で2人きりで部屋で寝てたんや!」

2人きり?何言うてんねんなこのオッサン!さっき部屋に入ってきた時に岸和田としゃべってたやんけ、それにオッサンの横で引きつるこの松原が目に入らんのかいな?ホンマどうしようもないボケたオッサンやでぇ。

「社長、2人きりちゃいまっせ、あと2人も居てますがな。正直に言います。この4人で麻雀してましてん」

オレは終始ヒクヒクと引きつるだけの役立たずの岸和田と松原を指差した。

「ん?あと2人やて…、な、なんちゅうこっちゃ…」

オクレ社長はそう言ってブルブルと震えだした。

「社長?どないしたんでっか?そんなブルブルしたら血管切れまっせ」

「お、お前ら…」

「はい?」

「トンでもないことを…」

「いや社長、『東(トン)』や無くて『西(シャー)』でしてん。そのせいでエライ損ですわ」

「西ちゃんが気の弱いことに付け込んで…」

「まあ、否定はできひんけど、お陰で支配人の1人勝ちでっせ」

「ひ、1人……お、お前ら寄ってたかって西ちゃんを…」

「まあ、寄らんと出来ませんけど」

「や、やっぱりか…」

「はい、さっき正直に言った通りです」

「この外道どもが―――!嫌がる西ちゃんと4Pしたんか―!」

オクレ社長は甲高い声で叫び、オレの胸倉を掴んで来よった。

「ゲ―――!何言うてるんですか!」

こいつの思考回路はどないなっとんねん!

「西ちゃんのかたき―!」

オクレ社長はそう言ってオレの胸倉をつかんだまま、貧相な体から想像もつかない力でオレを押し倒しよった。

「イッタ―!背中メチャイッタ―!」

間の悪い事に、倒れたオレの背中の位置に麻雀牌が一つ残っており、倒れた衝撃をその牌一点で受け止めてしまったのだ。悶絶するオレを見降ろしながらオクレ社長は、目に狂気の光りを灯しながらトンでもないことを口走った。

「ヒ、ヒヒヒ、お前も西ちゃんと同じ目に合わしてくれる」

それを聞いた途端、オレの背中の痛みは吹っ飛んでしまった。


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