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若き富田林亀太郎の青春
【コメディ その他小説】

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若き富田林氏、危機管理方法-1

なあ、にいちゃん、この話の続きメチャ気になれへんか?

そやろそやろ、メチャ気になるやろ!さっきの態度を反省したなったんちゃうけ?多分、にいちゃんの心の中は『亀やん、さっきはすんませんでした。亀やんの今の話ムチャおもろいですわ。今後は気合入れて聞かせてもらいますわ』ちゅう具合になったんちゃうのん?

ええ?そこまでちゃうて。照れるな照れるな、にいちゃんの気持ちわかってるがな。ええてええて、気にせんでええて。しゃーけど、ホンマはさっきのオレみたいに、にいちゃんにもやって欲しいんやで。

何をてか。オレがさっきやった『ゆ・る・し・て・く・だ・さ・い』っちゅうヤツや。

しゃーけどな、にいちゃん。オレって富田林亀太郎やん。さっきの話聞いてたらわかるやろ?オレってメチャメチャいいヤツやん。しゃーから、にいちゃんにそんなんやってもらわんでもええよ。勿体ぶらんと話したるわ♪



   …☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…



戦場では混戦中に負傷を負ったとしても、極度の緊張によってそれに気付かず闘い続けると言う。そして、いざ戦闘が終息し『ホッ!』と一息付いた時に自身の被弾に気付き、その衝撃の余りショック死する場合が有るそうや。

しかし、歴戦の勇士に於いてはそんなことは無いんや。戦闘中には自身に降りかかる事象も常に客観的に分析し、例え目の前でRPG−7が炸裂して、衝撃でドッカーンと吹っ飛ばされたとしても、慌てて起き上がることなく、その場に横たわりつつ、『右手、動く。左手、多少の痺れが有るが動作に支障なし。聴覚、回復に数分要するが鼓膜に損傷なし。両足、損傷なし』と、自身の身体能力を他人事のように一つづつ検証し、併せて戦場の状況も分析して以降の戦闘に備えるそうや。

これがオッチョコチョイの新兵やったら、慌てて起き上がって逃げようとするか、破れかぶれで敵陣に突撃しようとしよる。その結果はどちらも待ち構えた狙撃兵の餌食となるか、地雷を踏んでオサラバエ〜となるんや。

これはオレの好きな作家の冒険小説によく出てくるシュチュエーションや。

オレはどっちや?考えるまでもないZE!当然歴戦の勇士やんけ!オレは歴戦の勇士のように、自分自身を客観的に分析した。
手→震えとる。
足→膝がガクガクする。
パンツ→濡れている。しかし幸いにして、一回の射精ほどの量や。この位やったらチョット気持ち悪いだけで誰にもバレへんやろ。良かった〜♪この事がオレの冷静さをさらに呼び戻したようやな。ヨシ、続いて検証や。

戦場の状況→仲間は敵前逃亡。ん?なんか階段から僅かにうめき声が聞こえてきよるで。どうやら慌てて逃げて階段で自爆したようやな。まさしく地雷を踏んでオサラバエ〜に成りよってんな。哀れなヤツらや…

この極度の緊張状態の中でオレを冷静な状態に保ってたんは、普段から歴戦の勇士の気構えを持ってるからやな。あいつらと同じようにビックリして逃げてたら一緒に階段から落ちてたかもしれへん。

オレはあんなレベルの低いツレや、オクレ社長や支配人のようなマンガみたいなヤツとは違うんや!

「アホなやつらや」

声に出した途端、なんか踏ん切りがついた。それに幾らホンモンのヤクザでも、こんな場所で命まで取らんやろという考えも有ったしな。

さあ、入るど!と、あらためて気合を入れ、扉の取っ手を握ったその瞬間、「はよ、入ってこんかい!ボケ!」の罵声と共に、『パッリーン!』とコップが砕ける音が響いた。

やっぱり、ヤバいかもしれへんね……


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