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画面の中の恋人
【純愛 恋愛小説】

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画面の中の恋人-3

 名無男はただ乃理子のブログに優しいコメントを残し、乃理子はそれに返信する。たったそれだけの関係だったが、その言葉から溢れる暖かさや、応援してくれている気持ちがものすごく嬉しかった。

 ハルカたちゲーム仲間に名無男とのことを相談したことがある。ブログのコメントをやり取りするだけでは物足りなく感じてきた自分の気持ちを、素直に話した。仲間たちの意見は様々で、

「それはミコから誘わせるための作戦じゃない? 騙されちゃダメ!」

 なんて警戒心を剥き出しにする子もいれば、

「好きなんだったら、別にもっと仲良くなっちゃえばいいじゃない。たぶん相手もいい大人なんだし、割りきった関係でセフレくらいにはしてあげてもいいんじゃない?」

 と極端な意見を出す子もいた。セフレ……セックスフレンドという言葉に、乃理子は顔が真っ赤になった。30にもなって純情を気取るつもりはないが、そんな体だけの関係なんて自分は望んでいない。じゃあ、具体的に名無男とどうなりたいか、と言われるとそれはそれでうまく答えられないのだけれど。

「一度メッセージでも送ってみたら? あなたともっと仲良くなりたいです、とかって。コメントは誰でも見れちゃうけど、メッセの内容は自分たちしかわからないから、相手ももっといろいろ話してくれるかもよ」

 ハルカが出したその案が、一番良いような気がした。でも、いざ個人的なメッセージを送るとなると気後れしてしまい、明日にしよう、また明日にしよう、と先延ばしになっていた。

 今日、また名無男からのコメントを見て、そのいつもと変わらない優しい文面に「やっぱりもっと仲良くなりたいかも」と思い、乃理子はメッセージの新規作成画面を立ち上げた。

 何度も見直して、書いて、消去して、を繰り返し、1時間以上かけてメッセージが完成した。内容は、いつもコメントを入れてくれることに対するお礼と、もう少し個人的に名無男さんのことが知りたい、ということ。そしてもっと仲良くなりたい、ということ。そんなに長い文章でもないのに、おかしくないか何度も読み返してから送信した。


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