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王様じゃんけん
【幼馴染 官能小説】

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伏兵は女王様 <前編>-6

「な、夏樹姉ちゃんっ!」

慌てた隆が私の手を取りふたりの間に割ってはいる。

「どきなさい隆…………」
「ま、待てって…… ホント落ち着いてくれよ…………」

自分でも驚くほどに、低く冷徹な声で隆を睨む私。
すっかり頭に血が上ってしまっているのか、
制止しようとする隆にさえ嫌悪を感じてしまう。

「いい…… 叩かれて当然なのだから…………」
「ユイ!!! だからお前も言い方考えろって…………」

どうしてユイを叩いてしまったのか。
何故ここまで、何に対して私は怒っているのか。

理由は明白──隆を、私の大切な隆をおもちゃのように扱った事がゆるせなかったからだ。

「ごめんなさい…… でも…………」

頬を赤く腫らしたユイは、それでもなお気丈に私を見つめ返しながら、
必死で何か言葉を紡ごうとする。

「隆の優しさを理解したうえでも…… ユイは女の子しか愛せないとわかったから…………」

毅然とした態度でまっすぐに私を見つめるユイ。
私は興奮のあまり肩を揺らすも、
チラリと隆の顔を見ては大きな溜息をついた。

「あんたは…… 隆はそれで納得したの?」

普段の私からは想像もつかないであろう低い声に、
若干、怯えているようにも見える隆。

「お、俺は…… いや、俺も………… その…… 似たようなものだから……」
「…………どういう事よ?」

いぶかしげな目で隆を見る私。

「!? も、もしかして隆も………… 同性愛者とか?」
「ち、違うよっ! そうじゃなくて…………」
「ユイがカミングアウトした時、隆もまたカミングアウトしたのです」
「ちょ、ユイ! だから言い方っ!!!」

言葉に詰まる隆を見てユイが口を挟む。

「幼い頃からずっと好きな人がいて、その人を忘れたいがために付き合ったのだから俺も同罪だと……」

ユイの言葉を耳にするも、よくその意味が理解出来ずに首を傾げる私。
隆は少し顔を赤らめながら、なんだかバツが悪そうに黙ってうつむいていた。


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