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【サスペンス 推理小説】

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エスカレートする嫌がらせ-1

 それからまたさらに2週間ほど過ぎた日の夕方、珍しく我が家にヨネコさん以外の来客があった。あのオフ会の日に来ていた、九官鳥とウシガエルだった。

「あの……可憐さんの妹さん、ですよね? ちょっといいですか?」

「はあ」

 九官鳥とウシガエルはサイトの中だけではなく、実生活でも近所に暮らしていてそれなりに仲が良いらしい。ちょうどヨネコさんが帰ったのと入れ違いくらいのタイミングだった。

 ふたりの話を聞くと、このところ例の小説サイト内でヨネコさんのおかしな言動が目立っていると言う。他人が書いた作品に喧嘩をふっかけるようなコメントを頻繁に書き込んだり、やたらと不快になるようなメッセージを送りつけてきたりするらしい。

「可憐さん、嫌がらせで参ってるのはわかるんだけど、なんだかちょっと心配になってきて……このままだと可憐さんが仲間外れにされたり、サイトから追い出されたりするんじゃないかなって」

「はあ」

 イライラし始めると、無意味に攻撃的になる。いつものヨネコさんらしい。別に心配ないし、放っておけばそのうち収まりますよ、と言うと、それじゃ困る、と九官鳥が喚いた。

「わたしたち、楽しく遊びたくてやってるのに、あんな嫌な言葉を浴びせられるのはまっぴらなのよ! あなた妹なんだからちゃんとお姉さんに言って聞かせなさいよ!」

「えぇ……ヨネコさん、じゃないや、可憐さんはわたしの言うことなんか聞きませんけど……」

「そこをちゃんと聞かせてもらわなきゃこまる! 今日だってわざわざ訪ねてきてあげたのに! そんなだったらもう可憐さんとお友達ではいられませんから!」

「はあ」

 九官鳥は自分で自分の言葉に興奮するタイプだったらしく、この際とばかりにヨネコさんの悪口をぎゃあぎゃあと吐き散らした。自分では上手だと思ってるかもしれないけど、みんな本当は仲間の中でも一番へたくそだと思ってる、とか、思いやりがない、とか、自分勝手だ、とかなんとか。文章については良く分からないが、思いやりがなくて自分勝手だという意見については大いに賛同したい。


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