投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

犬猿の仲
【ファンタジー 官能小説】

犬猿の仲の最初へ 犬猿の仲 61 犬猿の仲 63 犬猿の仲の最後へ

盟約-12

《もし、また妖怪の本能が暴走したら?今度こそ止まらなくなったとしたら?》

 う……それ言われるとキツイなあ。

「その時は……私が引導を渡しましょう」

 薫子が俺の指を強く握りながら答える。

 あ、それって最高に幸せかもしんねえ……愛する女の手にかかって死ねるって男冥利につきるよな。

 思わず彼女の手を持ち上げて、その手にキスをしてしまった。

《控えんか、馬鹿猿》

パシッ

「って」

 俺の手に軽い電流が走り、慌てて薫子の手を離す。

 だあら、馬か鹿か猿かどれかひとつにしぼれっての。

 俺は電流の走った手を振って憮然とした顔になった。
 そんな俺を無視して大御神様は話を続ける。

《では、我が愛し子に神通力を戻そう》

 大御神様である白いモヤが揺らいだかと思ったら、その一部が切り離されて薫子へと移動した。
 薫子の胸に白いモヤが吸い込まれ、薫子の体が光輝く。
 光が治まると、そこには白い毛皮の神々しい姿の犬神様……薫子の本来の姿。

 犬でもヤれそうなぐらい綺麗だ……思わずうっとりと見とれてしまった。

《さて……せっかくの下界だ。暫く厄介になるぞ》

 は?今なんつった?

 ボケッと薫子に見惚れていた俺はハッと我に返り、大御神様に視線を移した。
 大御神様の白いモヤモヤが人の形をとり、徐々にしっかりした人間へと変化する。
 そこに現れたのは薫子を40歳ぐらいにした女性……しかも裸。

 不覚にも息子が反応しちまったぜ、チクショウ……つうか、大御神様って女だったんだ。

《大御神様?》

 薫子が呆気にとられて大御神様を見つめる。


犬猿の仲の最初へ 犬猿の仲 61 犬猿の仲 63 犬猿の仲の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前