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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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キュリオ不在の朝-1

「お父様大好き」



アオイはそっとキュリオの胸元に顔うずめた。無意識なのかキュリオの腕に力が込められアオイは心地よさに目を閉じた。


「・・・・・・」


キュリオは目を開ける。
アオイの髪を梳き頬を撫でた。
・・・ティーダは吸血鬼だ。見初められたとしたら厄介だ。やつには伴侶がいない。吸血鬼は人の生き血を吸うが、人間を伴侶として迎えることもある。
この気持ちが嫉妬なのか娘を取られる父親の焦りなのかもわからずキュリオは拳を握りしめていた。

翌朝目を覚ましたアオイはキュリオがいないことに気づく。広間へ走り、大臣や女官に(寝間着のままだなんていけません!)と追いかけられながら父親の姿を探した。

中でも特に親しい剣士の青年カイを見つけ、


「カイ!お父様見かけなかった?」


と声を弾ませる。


「アオイ姫様!なんて格好を・・・っ!」


頬を染めてアオイの傍に駆け寄るカイが可愛い。年齢にして21程だろうが、どうしてこの悠久国は美しい人ばかりなのだろうか。あまり気にしていなかったことなのに最近気になるのはアオイが女性として目覚め始めていることだと本人は気付いていなかった。


「キュリオ様なら先程お出かけになられました。夜までには戻ると・・・」


目のやり場に困るのかカイの視線が泳いでいる。

(お父様やっぱり忙しいんだ・・・)


「ありがとうカイ、着替えてくるね」


そう言って城へ引き返した。途中女官につかまり「レディがいけませんよ姫様!!」と怒りながらも笑って頭をなでてくれる。白の装飾が美しいドレスに着替え朝食をいただく。キュリオがいないため、たった一人での食事だ。



「姫様、お食事中失礼いたします」




「うん?」




「まもなく民より姫様へと贈り物が届けられるとのことです」



「贈り物・・・?」



「民よりの贈り物は親愛の証ですから。快く受け取ってくだされば民も喜びます」


大臣は優しく微笑んだ。アオイはそうだね。と承諾したが、何もしていない私が受け取るなんて・・・と申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


キュリオは[吸血鬼]の国へ来ていた。ティーダがアオイへ送った手紙を手にして。


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