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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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兆し-1

カイと河原に遊びにきていたアオイは、黒い鳥を見つけて指をさした。



「あの鳥のお名前は?」



「・・・俺も見たことないですね、
赤い瞳をしているようですが・・・」



興味を示したアオイが黒い鳥に近づいてゆく。




「姫様お気を付けください、手を出してはなりませんよ!」




構わず傍に寄っていくアオイが鳥の背をなでた。




「わぁ、可愛い子!」




鳥は気持ち良さげに目を閉じてなでられている。



「羽も瞳もとっても綺麗!
きっと、お声も素敵なんだろうねっ」




と、アオイが言葉を発すると・・・



『・・・・・・・』



「・・・・え?今なんて・・・・」



茫然とするアオイの傍にカイがやってきた。




「本当に大人しい鳥ですねぇ・・・」



鳥に触れようとしたカイは、その鋭い嘴で指を突かれた。




「なっ・・・!!!」



カイの一声で我にもどったアオイが慌てて鳥から手を離した。

(・・・なんだろう今の・・・男の人の声がしたみたい・・・・)



鳥と格闘しているカイをなだめて、キュリオに教わった回復の祈りをかける。カイは生粋の剣士で回復魔法の心得はないのだ。





「鳥さん驚かせてごめんなさい、
あなたさえ良ければまた遊んでね」




アオイはそう言ってカイの手を引き、その場から離れた。




ふたりがいなくなった場所に
もうひとつの影が近づく。黒い鳥はその影の中へと姿を消した。




「・・・アオイの姫君は心までも美しいのだな・・・」




口元に不穏な笑みを浮かべ・・・影は消えていった。




見たこともない黒い鳥がいたことをカイはキュリオに報告していた。




「ふむ・・・黒い翼に赤い瞳とは・・・
奴の姿を思い出してしまうな。」




「カイ、しばらくアオイを連れての外出は避けてくれ。私がいないときは・・・特にな」




頷くカイがアオイのもとへと戻っていく。家臣や女官たちにもアオイを外へ連れて行かないようにカイが声を下げて伝えていた。



「どうかしたの?」




不思議なものを見るような目で傍にいる女官の袖を引っ張っているアオイ。




「アオイ、私にハープを聞かせてくれないか?」



その言葉を聞いて嬉しそうに笑うアオイはハープを取りに走って行った。




それからしばらくはいつもと変わぬ平穏な日々が続いた・・・






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