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氷炎組曲
【ファンタジー 官能小説】

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錬金術師と可愛すぎる妻と洋ナシのワイン浸け-2

 *

 なんだかふわふわした、とても良い気分だった。
 サーフィはへルマンが大好きで仕方ない。
 だから、抱きしめられると凄く幸せだし、本当はもっと積極的に自分からも色々して」みたい。
 ただ、勇気が出ないのだ。
 へルマンに関する限り、サーフィは馬鹿馬鹿しいほど臆病で優柔不断になってしまう。
 まったくもって、馬鹿ップルだ。
 さて、それがどうした事か、ワイン漬けを食べた途端に、とても浮ついた気分になってきた。
 頭の中にかかった幸せな霧に背を押され、抱きついてみる。へルマンは少し驚いたようだが、好きなようにさせてくれた。
(へルマンさま、好き好き大好き、愛してます)
 心の中でだけならと、胸の内でひっそり想いを呟く。

 ……が、実は全部、舌ったらずな甘え声で口に出してしまってる事に、この酔っぱらいは気づいていない。

 猫みたいに喉を鳴らして、へルマンの膝の上で幸せに浸っていると、いきなり顎を持ち上げられ、キスされた。
「んっ!?」
 驚いたけど、もちろん嫌なわけはない。
 催促するように唇を舐められると、サーフィの唇は簡単にほどけてしまう。今日は思い切って、自分からも舌を出して応えてみた。
「ふ……っぅ……」
 アルコールのせいか、キスがくれる甘い疼きはいつもより更に糖度を増して、脳髄をとろかす。
「んんっ……」
 くすぐったいようなもどかしい感覚に、身もだえした。
 足りない。まだ足りない。
 この後にいつも貰える快楽を期待して、熱くなった身体が、ねだるようにゆらめく。
「やはり、こんなに可愛い君を目の前にして、我慢するのは無理です」
 苦笑交じりに告げられた言葉に、サーフィは首をかしげる。
「がまん?」
 わからない。なぜ、我慢なんかする必要があるのか。サーフィはいつだって、ヘルマンにこうされるのが嬉しくてしかたないのに。
「寝所にいきましょうか」
 こういう時のへルマンは、いつも始末におえない卑猥な色気の毒を滴らせ、サーフィの羞恥も理性も、残らずとろかしてしまう。
 情欲の籠もったアイスブルーの瞳が、愛しくてたまらない。

 軽々と抱き上げられ、ベッドに運ばれた。
「あっ!」
 首筋に吸い付かれ、快楽に背がのけぞる。
「まっ、待ってくらさいっ!」
 手際よく衣服を剥ぎ取られそうになり、慌ててサーフィは両手を突っぱねた。
 このまま身をゆだねてしまえば、あっという間にワケが解らなくなるまで喘がせられて、何度となく達してしまうだろう。
 一方でいつも、へルマンは余裕しゃくしゃくな態度を崩さない。埋め込まれる性器は、硬い熱を帯びて興奮を示しているのに、それに溺れる事もなく、更にサーフィを快楽に漬け込んでいく。
 それが、ちょっとだけ悔しい。
 たまにはへルマンだって、我を忘れるくらいサーフィを貪ってくれても良いじゃないか。
 だから、恥ずかしくてたまらなかったけど、目の前にあるシャツの胸元を握って訴えた。
「どうしました?」
「えっと、へルマンさまにも、その…気持ちよくなって欲しいのです!」
「いつも、とても気持ちいいですよ」
「でも、でも……ヘルマンさまが夢中になるくらい……わたしにも、させてくらさいっ!」
「……は?」

 十分後。
 押し問答のすえ、シーツの上に両肘と両膝をつき、サーフィはヘルマンの腰へと顔を埋めていた。
 硬く張り詰めている男の屹立を乳房で挟み、先端を口に含んで舌を絡める。
 隊商にいた頃、小耳に挟んだ知識ではあるが、こんな事を実際にするのは初めてだ。
 むき出しの尻を高く突き出すようなこんな格好も、いつもなら恥ずかしくてとても出来ない。
「ん……ん……ふ、っ……」
 愛撫を施しているのは自分なのに、頭がぼうっとするほど興奮して、男根を咥えた口端から声が漏れる。
 ヘルマンの反応が気になって、チラリと見上げると、眼を瞑って眉をひそめているのが見えた。
 あまり気持ちよくないのかと、心配になり、もっと熱心に愛撫を施す。先から滲んできた苦味のある雫を舐め取り、ひたすら舌を絡ませた。
 胸で挟んでいる屹立の熱に、繋がる時の感覚まで忠実に思い出してしまい、早合点した秘肉が潤いを増やす。
「っふ……む……」

 ヘルマンが大好きで、誰にも渡したくない。
 こんな事をするのは、この先ずっと自分とだけであってほしい。
 そんな独占欲を煽られ、アルコールで火照る身体がいっそう熱くなる。




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