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Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time"〜廃墟タイム
【兄妹相姦 官能小説】

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廃墟タイム-2

 そこは一軒の空き家だった。カントリー風の二階建ての大きな建物が唐突にあった。街から離れていて、建物全体が深い雑木林に囲まれていた。ひと気はない。ツクツクボーシが元気なさ気に鳴く声に、川の流れるかすかな音が混じって聞こえる。

「こんなのが、あったのか、こんなところに……」ケンジは自転車を降りて言った。
「素敵な家でしょ? まだそんなに朽ち果ててないし」マユミも自転車のスタンドを立てた。「入ってみようよ。ケン兄」

 入り口の上に大きな看板が掛けられていた跡があった。曲がった釘が何本か残っている。
 マユミとケンジは、その大きな観音開きの強化ガラス製のドアを開けた。
「鍵掛かってないんだ……元はレストランか何かだったみたいだな」
「そうだね」
 二人が中に入った所には木製のレジカウンターがあった。一階部分のほとんどは広いホールで、椅子やテーブルは残っていなかった。その奥の壁に広く空いた出入り口の先は厨房だったようだ。
「こんなところにレストランがあったなんて、知らなかったな」
「そうだね。でもなんでこんな町はずれに建てたんだろうね」
 ケンジはホールを見回しながら言った。「ここに入ってくる道の前の道路は旧国道だったんだ」
「そうなの?」
「ああ。川に橋が架かってバイパスができてからこっちの方は寂れたんだろうな」
「もったいないよね、これ」マユミも天井の電球のとれたペンダント型照明に目をやりながら呟いた。「きっと素敵なお店だったんだろうな」
 その時、奥の元厨房の方からみゃあ、という声が聞こえた。
「あ、猫だ!」とっさに振り向いたマユミが叫んだ。そしてその声のする方に足を向けた。
「気をつけろよ、マユ、足下」ケンジも後を追った。

 その広い部屋は埃まみれで、所々に割れた陶器のかけらが散乱していた。
 ケンジが足を踏み入れた時には、すでにマユミはしゃがみ込んで黒いトラ縞の猫の喉元を撫でていた。その小動物はごろごろと喉を鳴らしながら目を細めてマユミの手にすり寄っていた。
「やん、可愛い! この猫、女の子だね」
「人なつこい猫だな」ケンジもマユミの横にしゃがんでその猫の背を撫でた。しっぽを立てた彼女はケンジの脚に身体を擦りつけてきた。
「かわいいな……」ケンジも目を細めた。

「あれ、外にもいるよ」マユミがふと目を上げた。
 厨房は裏庭に面していて、広いガラス窓から見えるそこには雑草や小木が生い茂っていた。
「意外に開けてる」
「けっこう広い裏庭だね」
 伸び放題の草の中に転がっていたオレンジ色の水タンクの陰に、白い猫と斑の猫が並んで寝そべっていた。
「猫のすみかになってるのか、この家」
「誰かごはんあげたりしてるのかな……」

 立ち上がって所々にシミの広がった壁に囲まれた部屋を見回していたケンジは、汚れて輝きをなくしたシンクの近くに落ちていた物に気づいた。そして無言でそこまで歩くとそれを拾い上げた。
「あれ、ケン兄、何それ?」
「え? あ、ああ。電気のコードが落ちてた」ケンジは手に取ったそれをマユミに見せた。
「コードだけ? ミキサーか何かのだったのかな」
「そうかもな」
「そんなの拾ってどうするの? しかも二本も」
 ケンジは少し赤面してそれを手にしたまま、何も言わず先にそこを出た。


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