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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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Re:〜後編〜-16

「……アー…ス……?」

 掠れた声で返事をしたキャラは何度か瞬きをしてアースを見つけた。

「この……馬鹿野郎が……」

 一瞬、泣きそうな顔になったアースは誤魔化すようにキャラを抱きしめた。

「……ごめん……」

 死ぬつもりはなかったのだが、何故だか動けなかったのだ。
 それほど、男の瞳は哀しげだった。

「ポゥ、ありがとう」

『ピィ』

 キャラがお礼を言うとポゥは照れたようにくねくねと体を捻る。

「よく知ってたな」

 アースはぐすっと鼻をすすった後、キャラを抱いていた腕を緩めてデレクシスを見た。
 デレクシスはぐったりと床にうつ伏せて、痛みに耐えながら答える。

「血は水と同じだから……操って傷とか治せるって……ウィルが……そうやって傷を治してた……なあ?ポゥ」

『ピイ?』

 ポゥは今気づいたと言わんばかりにデレクシスに目を向けた。

『…………ピ!?ピピッピピピ!!』

 やっと分かってくれたらしいポゥは驚いてデレクシスにまとわりつく。

「酷いな……気づいてなかったんだ……」

 ポゥにとってデレクシスに会ったのは500年も前の事だ……そりゃ分からなくても仕方がない。
 ポゥはデレクシスの血流を操って彼の怪我を癒していった。

『和むのは後にしろ。奴が再生したぞ』

 グロウの視線の先にはゆらりと起き上がる男の姿。
 その腕は腐れながら再生していた。

「邪魔を……するな」

 男はギリギリとグロウを睨んで一歩踏み出す。
 グロウは唸りながらいつでも飛びかかれるように姿勢を低くした。

「アース、立たせて。グロウ、ちょっと退いてて」

 キャラの言葉にアースは怪訝な顔をしながらも彼女を立たせてやり、グロウはその横に移動してキャラを支える。
 なんとか立ち上がったキャラは正面から男を見つめた。

「……あんたとは逝けないよ」

「……傍に…居てくれ……」

 男はガラガラの声で小さく懇願する。
 キャラは少し俯いて首を横に振った。

「ごめん……ね」

 男の真の望みは愛する人と共に居る事……誰もが望む普通の望みだ……キャラにはそれが分かった。
 しかし、彼の愛情表現は歪み過ぎていた。

「そうか……ならばこんな世界は要らないな……」

 男の体から暗黒色の障気が沸き上がる。
 アースとグロウは対抗するように金色の陽炎を体から出した。


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