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恋なんて知らない
【初恋 恋愛小説】

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恋しくてたまらない-3

「お姉ちゃんは何しに来たの?私になんか用事?」

「ううん、高橋さんに会いに来たの。」

ずき、と心が痛くなる。

菜美子さんは私を横目で見ている。

「お姉ちゃんさぁ、いい加減…。」

「だって私たち結婚するんだもん。ちょっとくらい会いに来たっていいじゃない。」

「えっ…!」

先に驚きの声を上げたのは私で、伊藤さんも混乱したような顔をしていた。

「一日でも会えないと寂しくなっちゃって。
ちょっと我慢すれば毎日一緒にいられるんだけどね。」

菜美子さんの言葉に、胸の真ん中がぎゅうぎゅう締め付けられるような気がした。

「あ、私…ごめんなさい…っ!」

呼吸が苦しくなって、どうしてもその場にいたくなくて、私は走り出した。

…やだ、やだっ…!

ぎりぎりと胸が痛くて、私は早く先生に会いたくて仕方なかった。

受けられなくてもいいなんて、誰を好きでも関係ないなんて嘘だ。
先生が他の誰かを好きなのは嫌。
私を好きになってほしい。
私だけを好きでいてほしいの。
 



数学準備室は少し扉が開いていた。
さっきすれ違った菜美子さんの香水の匂いが、ほのかに香っていた。
テーブルに置かれた二つのコーヒーカップに目が行く。
菜美子さんの足跡を感じて、嫉妬心が芽生える。


「…畑本?」

扉を開けてすぐの見えるところに、先生は座っていた。

少し驚いたような表情をするその人が、恋しくて愛しくてたまらなかった。

「先生…結婚しないでください…!」

思わず叫んだ途端、目から涙がこぼれてきた。

「畑本?どうしたんだ?」

「私……先生のことが、好きです…。」

言葉と一緒に涙が溢れる。

かまってほしくて、私を見てほしくて、先生の所に行った。
他の生徒とは違うことをして、先生の記憶に残りたかった。
先生に触れたかった。
ずっと、先生が死ぬほど欲しかった。

先生の反応が怖くて、下を向く。




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