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氷炎の舞踏曲
【ファンタジー 官能小説】

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囚われの三日目についての記述。-3

「ふぁぁっ!ヘルマンさまぁっ!!あ…ああっ!!」
 物欲しげな半開きの唇の誘惑に負けて、舌を絡め、夢中で貪る。
 半ば意識を飛ばしているサーフィも、本能のままに小さな舌を絡めて吸い付いてくる。
愛しくて、たまらない。
 君は全部、僕のものだと言い放って、抱きしめてしまいたい。


 もう一度……もう一度だけでいい……僕を愛していると、言ってくれ!


(ーーなんで、そうしないんだ?あ?)
 心臓にペンナイフを突きたてた幻の男が、そう囁く声が聞こえる。

(ーーうんと甘い言葉でとろかせば、サーフィはきっと、またお前を慕ってくれるようになるさ。)
(けれど……それは違う……)
(彼女の愛は孤独の副産物?偽物の勘違いの愛だって、あのアホな小娘は、それに酔ってるんだ。かまわねーよ。世間知らずの小娘を言いくるめるくらい、簡単だろ?)
(うるさい……)
(ーーお前が他人を気にかけるなんか、ありえねーよ。テメー自身すら、大事にできないんだ。他人を本当に愛する事なんか、できるわけねぇ。)
(うるさい……)
(諦めな。形だけのマガイモンの愛でも、手に入るんだ。それで良いじゃねーか。)
(黙れ……)

(まがい物で、満足するんだ!!!)

(黙れ!)

「サーフィ……」
 唇をわずかに離し、吐息混じりの声が口をついて出る。
 身体の下で、愛しくて仕方のない少女が、すがるような瞳で見つめ返している。
「ん……っ……ヘルマンさまぁ……」
「サーフィ…………」

 ーーーー愛してる。

 その言葉を口にするのだけは、何とか耐えた。
「っ!」
 精を流し込み、衝撃に引きつる彼女の身体を、しっかり抱きしめた。
 荒い呼吸が落ち着くのを待ち、軽くまた口付けた。

――――突然、サーフィの全身が、赤く光り輝いた。

 ヘルマンが待ち焦がれていた反応だった。
 薬が、完全に効いた。
「え!?」
 半ば朦朧としていた彼女も、その異変に驚いたらしい。
 赤い瞳が大きく見開き、ありえない光彩を放つ自身の身体を見つめていたが、糸の切れた人形のように、パタンと意識を失って倒れた。

 心地良さそうな寝息を立てている彼女を、ヘルマンはそっと抱きしめる。
 万感の想いを込めて、涙の痕が残る頬に口付けた。
 これが、最後なのだから。



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