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あやなくもへだてけるかな夜をかさね
【その他 官能小説】

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あやなくもへだてけるかな夜をかさね-11

…単純なことだけど…
智子は、突き上げる夫を感じ、全身を貫くように訪れる官能の波に翻弄されながら、頭の片隅で想う。
肌と肌を触れ合わせ、お互いの体の中から溢れ出す液体を一つに混ぜ合わせる行為が、こんなにも心を満たしてゆくのだ。
排泄に近いいつもの行為と、結果だけ見れば同じなのだけど…そこにあるものはこんなにも違う気持ちを与えてくれる。
…この人を…まだ愛してる…きっと、ずっと愛してた…
「ぅぁ…ぁん…ぁぁぁ…ぁ、ぁ、ぁ…」
秘所の奥深く突き上げられると、子宮の中からさざ波のような官能がこみ上げる。
燃えるように熱いその場所が、ザワザワと痺れるように騒ぎだすと、ザブンザブンと打ち寄せる波が智子をどんどん高みに押し上げてゆく。
「ぁぁぁ…あ、あなた…祐一…祐一…」
夫の名を繰り返し繰り返し呼び続けた。
「智子、智子…一緒に…」
「…ぅ、うん…一緒に……」
ハ、ハッ…ハァハァハァ…
夫の鼓動が高くなり、荒い呼吸が智子の耳を打つ。
「…お、お願い…お願い…このまま…」
ハァハァハァ…
「ぅぁっ!」
夫の口から上がった声と、智子が自身の胎内に熱い熱い迸りを感じたのは、ほぼ同時だった。
「ああああぁぁぁぁぁ…」
智子は高い山の上から一気に海面にうち降ろされ、快感の泡に包まれながら暖かい水底にユラユラと漂うように沈んでゆくのだった。


夫の体の重さを心地よく受け止めながら、智子は微睡ろむ。
夫の髪を優しく撫でた。
幼子のように智子の胸乳に頬を擦り寄せる夫が可愛い。
何か言葉を交わそうか?とも思ったが、今はこの穏やかな微睡みにただ身をたゆたえていたい。
先に静寂を破ったのは、夫の方だった。
「智子…」
「ん?何?」
「……君を放ってた?」
「え?」
「僕、君を放ってたのかな?」
「……どうかしら?」
自分の気持ちを誤魔化すように、笑いを含ませた言葉で返したのは、智子の中の小さな意地だ。
『寂しかった。放っておかれて辛かった』
そう言って、夫にすがり責めるには、智子は少し人生を重ねすぎた。
「寂しかった?」
どうして、こんなに核心を突いてくるのだろう。
「…ん、少し…」
『寂しくなどなかった』
いくら意地を張り通そうとしても、智子の中の女が、それを許さない。
意地だけで生きてゆくには、智子はまだ若い。
「君に謝らなければいけないことが一つある」
夫の言葉が、智子の胸を騒がせる。
「な、何?」
「…君の…気持ちを覗いてしまった」
「は?」
何を言っているのかわからなかった。
「どう言う意味?」
不安と戸惑いが智子の心を支配してゆく。
「君が見ているサイト…そこの…掲示板も…」
(!)
…見たの?!…
カァァーーーッ!
智子の頬が、そして全身が熱を持つ。
「あ、あなた…」
「ごめん…しちゃいけないとわかってた」
「……」
何と言って取り繕えば良いのだろう?
主婦の浮気サイト…そんなサイトに足を運んでいた自分を、夫はどう思ったのだろう?
「この前…君は起き出してパソコンを開いてただろう?」
あの晩、智子が虚しさに打ち拉がれた夜。
夫は眠っていたのでは無かったのか?
「何をしてたのか…ずっと気になってた」
「…君のことが…気になってた…」
…気になってた?…私のことが?…
初めてネットに自分の心を打ち明けた智子に、ハンドルネームなど思いつくはずも無く、あの夜智子は名前の欄にそのまま自分の名前を書き込んだ。
“寂しい… 智子”と…。
書き込み日時と名前を見れば、夫にはわかっただろう。
あの告白が、智子の心の叫びだったことも。


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