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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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焔の決断-8

「気持ち良いなあ」

「空飛ぶのは初めて〜?」

「いや、オーウェンに乗った事はあるけど、スピードが違う」

 目を閉じて風を感じるラインハルトを見たエンはニヤリと笑う。

「まだまだぁ〜!しっかり掴まっててぇ!」

「うおぉっ!?」

 ぐりんと旋回したアビィから落ちそうになり、ラインハルトは慌ててエンにしがみついた。
 翼を打ち付ける度にスピードを上げるアビィに、ラインハルトは喜び、何だかエンも嬉しくなる。

 ある程度、空中散歩を楽しむと湖近くに降りた。
 以前、アースの家があった場所だ。

「あぁ楽しかった」

 アビィから降りたラインハルトは大の字になって地面に寝転ぶ。
 小さくなったアビィはその横に同じポーズで寝転び、スースーと寝息を立て始めた。
 その様子にクスクス笑ったラインハルトはアビィの額を指でクリクリと撫でる。

「……ラインさぁ〜良く許したよねぇ〜」

「何を?」

「キャラとアースの事」

 ラインハルトの横に座ったエンは両手を後ろについて足を投げ出した。

「はは……私はあの娘に負い目があるからね」

「負い目?」

「うん。聞いてないかい?」

 エンは首を横に振り、ラインハルトは自嘲気味に笑う。

「私は王様だから、どうしても世継ぎを残す必要があった。しかし、同性愛者でもある……この事実に気付いた時は目の前が真っ暗になったね」

 王としてやらなければならない事がどうしても出来ない……。

「悩んだ結果……キアルリアを犯した」

「え?」

「しかも薬を使ってね。あの娘を世継ぎを産む道具にしようとしたんだ」

 結果、キャラは家出して現在に至る。

「……あんな事がなければあの娘は城を出る事も無かっただろうし……アース殿と逢う事も無かっただろうから、結果オーライってアース殿には言われたけど……」

 ラインハルトは体を起こして片膝を立て、そこに額を押しつけた。

「……他に……やり方があったハズなんだ……」

 あそこまでキアルリアを傷つける必要は無かった、とラインハルトは拳を握りしめる。


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