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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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焔の決断-7

「もしかしてなんですけど……キャラ姐さんのお兄さんって事は……」

「はは、当たりぃ〜ファンのラインハルト王だよぉ〜」

 エンの答えに騎士団員達はわらわらと集まる。

「へぇ、初めて見た」

「姐さんみたいに強いかな?」

「あのさ〜一応、お忍びって事だから……」

 あまり騒いで欲しくない、とエンは騎士団員に釘を刺しておいた。

「了解ッス」

「遠〜くから見守っときやす」

「頼むねぇ〜」

 これでラインハルトの身の安全は保証出来たと言うもの。
 少し肩の荷が降りたエンは、朝食代わりにスープだけ飲む事にした。

 今日は魔法学校は休みなのでキャラはラインハルトに何処か行きたい所は無いか、と聞いてみる。

「ん〜…休みでもいいから学校に行ってみたいな」

 魔法が日常的にある街を歩くだけでも楽しかった、と言うラインハルト……1人でここまで無事に辿り着けた奇跡を、キャラは亡き守護神オーウェンに感謝した。
 ……と、言うワケで3人で学校まで歩いていたのだが……。

「ねえ、エン」

「はい〜?」

 ラインハルトは軽く後ろを振り向いてエンに話しかける。

「無茶苦茶落ち着かないのは私だけかな?」

 一定の距離を保ちながら追いかけて来る騎士団に、ラインハルトはうんざりしているようだ。

「ん〜…これじゃあ息抜きにならないよねぇ〜」

 確かに落ち着かない、とエンも同意する。

「……逃げちゃう?」

 キャラにもバレないようにこっそりと提案したエンに、ラインハルトは嬉しそうに笑った。

(あ、この笑顔いいなぁ〜)

 ラインハルトの笑顔がもっと見たくなったエンは、アビィと意識を共有させる。
 ピクリと反応したアビィはエンの肩から空中に飛び上がり、一気に巨大化した。

「!?アビィ?!って言うかエンさん?!」

 巨大化したアビィは鼻面でひょいっとエンとラインハルトを掬い上げ、背中に乗せるとバサリと翼を広げる。

「ごめ〜ん、キャラ。ラインと空中散歩行って来るぅ〜」

「ちょっ……!!」

 キャラが何か言うより先に、アビィはブワリと風を撒き散らして飛び立った。

「んもう!!」

 自分勝手な男2人にキャラは盛大にため息をつき、追跡しようとした騎士団にほっといて良いと伝えた。



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