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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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焔の決断-18

「おかえり」

「おう」

 キャラがコーヒーを持ってきて向かい側に座る。

「……なんでファンは俺の大事なもんを奪っていくんだろうなぁ?」

 父親に親友……変わらず傍に居てくれるハズの人物を立て続けに取られたら、いい加減いじけたくもなる。

「あんたがファンの一番大事なもの奪ったからだよ」

「……自分で一番って言うな」

 キャラの答えはシンプルだが正解。
 アースは顔を上げてコーヒーに口を付けた。
 いつもより苦味が強いコーヒーは、後味はすっきりとしていた。


 3週間かけてファンに辿り着いたエンは、城の上空をアビィで旋回する。
 ファンの兵士達が一瞬ざわついたが、アビィだと気づいて手を振ってきた。
 そして、王の執務室らしき部屋のテラスで唖然として見上げるラインハルト。

「ラ〜イン!」

 エンはアビィをそっちに向かわせてテラスギリギリでホバリング。

「エン……」

「へへ〜来ちゃった」

 ラインハルトは恐る恐るエンに手を伸ばす。
 エンはその手を掴んでグイッと引っ張り上げ、ラインハルトをアビィに乗せた。

「息抜き行こっか〜?」

 エンの台詞にラインハルトは吹き出して笑う。

「後でこの間の続き教えてよねぇ〜言っとくけどシラフだから〜」

 ラインハルトはエンを振り向かせてその唇にキスをする。

「馬鹿だね君は……後戻り出来ないよ?」

 せっかく諦めて帰ってきたのに、こんな事されたら2度と離さないから、とラインハルトは囁いた。

「あはは〜後悔する為にわざわざファンまで来ないし〜」

 アビィは翼を打ち付けて空に上がる。
 これから先は未知数だけど、だからこそ楽しい。

 エンはラインハルトに顔を寄せて囁き返す。

「大好き」


ー焔の決断・完ー


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