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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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焔の決断-1

 西の大陸にある魔法大国ゼビアは、ロイヤルウェディングに盛り上がっていた。
 ずっと独身だった国王が、東の大陸のサイラ国から若い妃を連れて来たのだから無理もない。

 詳しくは絶賛公開中の本編、ゼビア・ズ・ストーリーと、ゼビア・ズ・サイドストーリー『王様の嫁取り大作戦』を読んで頂くとして……。

 結婚式と披露宴は盛大に行われ、興奮冷めやらぬゼビアは1週間立った今でもお祭り騒ぎが続いていた。

 城から馬で約2時間……魔法学校があるこの街も例外ではなく、宿屋兼食堂『言の葉亭』は大繁盛だ。

「アビィちゃん、ビールお願い!」

『キュア』

「キャラ、唐揚げ3番、枝豆5番」

「はい」

「ちょっ……母……」

「エン!何やってんだい!シチュー4番に持ってって!」

「はいぃ〜」

 母、エリーの命令に逆らえないエンはバタバタとシチューを運ぶ。

 彼の名前はエン=テイラー。
 ツンツン立てた赤い髪と、火の精霊アビィ(赤い火竜の姿)がトレードマーク。
 27歳、独身、只今彼女募集中。
 そんな彼は実家である『言の葉亭』で働きながら、魔法学校で臨時講師をしている。
 正式な講師として働く能力もあるのだが、店の跡継ぎでもあるのだ。
 現役バリバリで働く両親もいい加減歳だし、そろそろ身を固めなければいけないのだが……相手が居ないのが彼の現状。

 そして、そこに下宿しているキャラ……本名キアルリア=C=ファンは東の島国ファンのれっきとしたお姫様。
 その姫を顎でこき使う我が母の神経がちょっと信じられない。

「ごめんねぇ〜キャラ」

 食器を洗いながらエンはキャラに謝る。

「何がですか?」

 キャラはプラチナブロンドの短めの髪を揺らして首を傾げた。

「いや……お姫様なのにこき使っちゃってさぁ〜…」

「ああ、好きでやってるんで気にしないで下さい」

 キャラはお姫様なのに働くのが大好き。
 エンの幼なじみであり親友のアースと結婚した後も、別居してまで魔法学校で働いていた。
 これにはゼビアやファンのお偉いさんがかなり反対したのだが、ゼビア国王ドグザールと、ファン国王ラインハルトの王様2人に説得されてしまえばイエスと言うしかない。
 護衛代わりの魔導師リンとの同居が条件だったのだが、リンは魔獣のグロウと想いを通わせてしまい『邪魔』の一言でキャラは追い出されてしまった。
 そこで、代わりにと名前が上がったのがエン。
 彼の実家『言の葉亭』は騎士団の常駐宿としても使われているし、エンについている火の精霊アビィはキャラの魔力で格段にレベルアップするので何かあった時、好都合。

 しかし、こっちにはアースが大反対した。
 一度、エンとキャラが浮気をしているので無理もない話なのだが、魔法士レベルの魔法使いで信用出来る人物が他に居なかったのだ。
 まあ、あの時はアースが生死不明の状況下であったワケだし、アースの恐ろしさはエンが一番良く知っているので、もうキャラに手を出すつもりは無い。


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