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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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王様の嫁取り大作戦-10

「イズミを嫁に貰いに行くので覚悟の程を!」

『…………………………………………正気か?』

 さすが親子、反応が全く同じ。

「正気!」

 簡潔に答えたドグザールにサイラ王はこめかみ辺りを指で押さえる。

『……サイラの姫を嫁にくれというのがどういう意味か分かっておるのか?』

「重々承知しておる……それでもイズミが欲しい。必ず奪いに行く。例え、そちらが阻止してもな」

 2人の王は鏡越しに睨み合った。

『……分かった……残念だが王としては承認出来ん。しかしじゃ、せっかく築いたゼビアとの絆を壊したくはない……』

「それはこちらも同じ」

『1週間後……イズミと婚約者を引き合わせる予定じゃ……もし、間に合えば……その時は考えようぞ』

「感謝する。サイラ王」

 2人は通信を切り、ドグザールは両手をテーブルに付いて盛大に息を吐く。

「さぁって……ああは言ったが……どうすっかなぁ……」

 1ヶ月以上かかる道のりを、1週間で終わらせる方法が思い付かない。

「オーウェンと一緒にファンまで帰った時も1週間はかかったしな……だが」

 腕を組んで言ったキャラの言葉を、アースが引き継いだ。

「……転移の魔法陣がある」

 かつてゼビアとファンで遠距離恋愛をしていたベルリアとミヤが使っていたもの。
 それなら1ヶ月かかるファンまでの道のりが一瞬。
 ファンからならサイラまで船で1日だ。
 それがあったか、と目を輝かすドグザールに、アースは喜ぶのはまだ早い、と手を出して止めた。

「ただ、ひとつ……いや、2つ問題がある」

 アースが立てた2本の指を見て、ドグザールは先を促す。

「ひとつは、転移の魔法陣が1人用って事……子供ぐらいなら追加出来るがな」

「もうひとつは?」

「国王が魔力持ちじゃねぇって事」

 ゼビアからファンまでの長い距離を一瞬で移動する大量の魔力に晒されて、魔力を持っていないドグザールの体が耐えられるかどうか……。

「少し魔法陣の内容も変えるしな」

 本来なら移動する者自身が使うもの、それを少しねじ曲げて『転移する』ではなく『転移させる』にする。

「9割の確率で成功させる自信はある。……が、さっきも言った通り国王が無事である保証は無いし、こっちからの手助けは望めないと思ってくれ」

 アースは次期国王代理として残らなければならないし、キャラをそんな危険に晒す気は毛頭無い。


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