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氷の解けた日
【SF 官能小説】

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アニョンの変化-1

 それから3日ほどすると、アニョンがコロニーの広場で声をかけて来た。

「ハヤテ、しばらくだね。私3日ほど熱出して寝てたんだよ。寂しかった?」

 私は、アニョンが元気そうなので安心した。しかも声がウグイスのような綺麗な声になっている。

「うん、どうしたのかなって思ってた。
この間怒って行ったきり会ってなかったもんだから」

 アニョンは口に手を当てて、はっと気づいたみたいだった。

「そういえば、あのときは酷いこと言ってごめん。
ハヤテは優しい気持で言ってくれたのに。ハヤテの言う通りだったよ。
王子さまが来て物語が終わったら、そこから脱出できた。
それにね、私の体……いや、なんでもない。とにかく、あのときはごめんね」

「いや、いいよ。アニョンが元気になってくれたら、それで良いんだ」

 私はアニョンが髪をショートにしているのに、そのとき気づいた。

「その髪形かっこいいね」

 するとアニョンは顔をぱっと輝かせた。

「そう? そうでしょ。私ちょっとイメージ・チェンジしたの。大人になったから」

「へーー、どんな風に?」

 アニョンは艶っぽい流し目をして私を見た。

「それは秘密。おとなになると秘密ができるの。
たとえハヤテにでも言えない秘密がね」

 そう言って、クリーム色のワンピースの裾を翻して踊るように立ち去ろうとしたが、アニョンは途中で止まった。
そしてこっちを向いてゆっくり近づいて来た。

「あのね、ハヤテ。私が龍に食われたこと誰かに言った?」

 私は首を横に振った。するとアニョンは顔を近づけて来てぼそりと聞こえないくらいの小さな声で呟いた。

「私……ハヤテにしかそのこと言ってないから。
でもそのことを知っている人にゲームの空間で出会ったんだ」

 私は言った。

「私は誰にも言ってないけれど、アニョン言ってたじゃないか、自分の素の姿を他のアバターたちに見られたかもしれないって」

 アニョンは涙袋を膨らませにっこり笑った。

「そうだよね。だからあの人知ってたんだね。うふふ、そうか」

 アニョンはくるりと一回転してスカートの裾を広げて回転させると、また踊るような足取りで向こうの人だかりの方に消えて行った。 


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