Invasion Ⅰ-5
屈辱的な体勢だった。それはまさに、尻尾を振りながら餌を貪る犬の姿に酷似していた。体を狂わす官能の火照りを一瞬忘れ、エステルは動かぬ顔の下で歯を砕けんばかりに噛み締めた。
「法皇の狗っころのキミにはお似合いなんじゃないかな？ いつも尻尾を振って法皇のをペロペロ舐めてたんだろう？」
「黙りなさい人非人。犬以下の汚れた存在の癖に……」
「フン、犬以下ね……ま、いいさ。ところでちゃんと覚えてる？」
「何を……？」
ラスプーチンはすぐには答えず、確認するように高く突き上げられた尻から秘部を優しく摩り、指を突き入れた。
「ひっ……ぐ……はああ……」
「低俗に喘いだりしない、ってやつさ。キミが言い出したことだろう？」
細長い人差し指が突き入れられ、エステルの蜜壷を犯す。根本まで入った指はその中で軽くうねりながらエステルの中を乱暴にかき回す。秘部の花弁さえ自分で弄ったことがないのだ。当然エステルには初めての経験だろう。少女の背中は、秘部に侵入した異物に敏感に反応し、折れんばかりに仰け反っていた。――だが、声は漏らさなかった。
「ふ……く……」
固く結ばれた唇と、頭を抑えられながらも炎の消えない眼光でラスプーチンを射抜く。少女の心は、折れていなかった。
「よし……」
それだけ見れば男には十分だ。指を引き抜くと、素早く己の怒張した欲望を取り出す。脅しの言葉で嬲る必要はない。少女は既にそれを覚悟している。彼が行うべきことは、その欲望で彼女を実力行使で屈服させることなのだ。
「――かっ……はあっ……っ！」
漏れたのは、身を裂かれる悲鳴を飲み込みながらも僅かに零れた、断末魔。少女の秘部には一片の容赦も無く勢い良く男の肉棒が突き刺さっている。十分に濡らし、穏やかに突き入れたとしても激痛を覚えるという破瓜の苦しみは、剣の刺突にも似た一撃で何倍にも膨れ上がったはずだ。だが、血が滲まんばかりの気力で、エステルは耐えた。
（こんな男の……思うどおりには、ならない！）
十分すぎる程濡れていた彼女の秘部から、雌になった証である血が流れベッドを汚していく。男はその血を大した感慨も無く見下げると、少女の頭を押さえつける腕により力を込めながら抽送を開始した。
「っ……ッ！……ん……はあ……あっ……」
抽送の度に、大小の痛みが嵐のように少女を飲み込んでいく。諸刃の剣で秘部を抉られているような感覚だ。破瓜の痛みは少女を苛む。
刺突。刺突。刺突。刺突。
男が腰を少女の尻に打ち付ける音と、少女が漏らす苦悶の声だけが部屋に響く。ラスプーチンは暫く無言で少女の声を聞き、顔を覗きながら一心不乱に腰を叩きつけていた。
「ん……ふう……はっ……あっ……く……」
少女の背中に男が手を置く。その手は、少女の背中がじっとりと湿り気を帯びていることをしっかりと確認した。背中、いや前進が火照り、発汗しているのだ。ぐにゃり、と表現するのが正しいと思えるほど、ラスプーチンは顔を歪める。嗤いの形だ。
「……気持ちいだろう？」
「……ッ！」
びくり、とエステルの体が反応したのを見逃すラスプーチンではない。
「気持ちいいんでしょ？ 痛いけど、それでももっとして欲しいんでしょ？」
「ち、ちが……」
少女の言葉は、男が叩きつける肉棒によって掻き消される。男が根本まで、限界まで叩きつけた肉棒は、少女の裂かれた秘部の更に奥まで侵入し、抉る。
「がっ！ ……は、あああ……」
苦痛の声と、そしてその後に漏れる痛みによるものとは思えぬ吐息。そう、エステルは確かに、肉棒によって秘部を蹂躙されることで快楽を得始めていたのだ。苦痛も大きい。だが、確実にそれ以外の甘美な刺激がエステルの脳天に向けて突き上がってくるのだ。それは紛れも無い、快楽であった。
「どうしたの？ 犬以下の人非人に犯されて？ 正義の戦士様が？ 感じてるの？」
「違う！ ・…ふぅん……あっ……」
先ほどとは打って変わって、今度は穏やかな抽送に変わる。当然苦痛は和らぎ、快楽の度合いが増していく。そう、まさに少女の体は男の責めに悦びを覚え始めたのだ。それは当然、強烈な薬の影響である。男を知らぬ少女の体が、破瓜の痛みを覚えながらも快楽を感じることなど通常あり得ない。この尋常ではない状態は薬の影響なのだ、と自分自身に言い訳出来るほど、少女は器用ではなかった。自分の敵、つまりは神の敵に犯され、快楽を覚える。その事実が少女を打ちのめした。
（し、主よ……私は……違う！）
「フン、偉そうに言っても、やっぱりこうなるのか。キミの下の口ね、僕のを咥えて嬉しそうにヒクヒクしてるよ。全く……」
少女の動揺を見て、ラスプーチンは言葉を弄する。少女の心を読み、効果的な言葉で叩きのめす。
「キミって本当は……」
（やめ……て。言わないで……）
耳を塞げばよかったかもしれない。だが、間に合わなかった。少女の心に出来たヒビに、ラスプーチンは正確に釘を打ち込む。
「キミって、淫乱なんでしょ」
「う、嘘……」