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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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双星の魔女の困惑-17

「ああ〜…やっぱりごちゃごちゃするわ……アンタいつから自我があったのよ?」

 アースの記憶を持つ別人をどう扱っていいかわからない。

『ん〜…と、15歳ぐらいかな?なんとなぁ〜く、アースと違う事考えたりしたんだよな……』

 例えば、料理をしている時に後ひと摘まみ塩を入れたい、とかそんな些細な事から始まった。

『初めてリンとヤった時な……実は童貞だったんだ』

「え?」

『どうしても初めてはリンが良くて……あの時、初めて無理矢理アースを抑え込んだんだ……アイツは気づいてねぇけど』

 いつの頃からかリンに恋してたグロウの心に引きずられ、アースもリンに対して恋心のようなものを抱いた。
 しかし、所詮は自分の恋では無いので、それは徐々に消えていき『憧れ』という形で消化されていった。

『なんとかして魔力提供を忘れさせようと思ってたんだけどなぁ……ほら……20歳ん時すっぽかしてお前が怒った事あったろ』

「あったわね」

『あん時アースが完全にリンを諦めたんだな……それからはもう事務的なセックスで……最悪だった……』

 がっつりとリンを愛したいグロウと、さっさと終わらせたいアースのせめぎあい。

『あそこらへんから完全に別人……かな?』

「ふぅん……」

『でもどうしようもねぇじゃん?俺はアースの一部なだけの存在なんだし……でも、キャラに会った瞬間……希望が見えた』

 キャラに魔力を分けてもらった時、この魔力なら自分の力が増すと、直感で分かった。

『それからはもう必死でアースを乗っ取ろうとしてなぁ……まさか自分が食い破る存在だとは思って無かったし……』

 その後の事は知ってるだろう?と、グロウは躰をずらしてリンに腕を出した。
 その腕に頭を乗せたリンはグロウの首筋に顔を埋めて甘える。

「一途なのね」

 そんな前から想いを寄せられていたと知り、リンは嬉しくもあり少し申し訳ない気持ちにもなった。

『嬉しいだろ?』

 グロウは気にするなと言わんばかりに軽く口付けをしてクスクス笑う。

「なんで分離した後キャラに付いていったの?」

『アイツが心配だったのもあるし、人型になる方法が知りたかったからな……魔獣としても赤子みたいなもんだし……オーウェンに色々教えてもらってたんだ』

 リンの傍に居るのに相応しい存在になるため、と言われリンは益々嬉しくなった。

『お前が思ってる以上に……俺はリンを愛してるんだよ』

 照れるリンに優しく、想いを込めて口付ける。

 再び絡み合う2人を2つの月の光が穏やかに包んだ。

 後日、リンに邪魔だと言われ家を追い出されたキャラは、エンの実家である宿屋兼食堂に下宿する事になる。


ー双星の魔女の困惑・完ー


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