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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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双星の魔女の困惑-10

『嘘ついてどうするよ』

「だ、だ、だって、アンタ……キャラは?!」

『言ったろ?俺はアースじゃねぇって……昔っからお前しか見えてねぇよ……』

 グロウはチュッと音を立ててリンの額にキスを落とす。

『絶対に言わないつもりだった……お前、子供欲しがってたろ?俺は子供作るつもりねぇから……お前の望みを叶えてやる事は出来ねぇ』

 それでも傍に居たかったから黙ってた。

『でもなぁ……お前可愛いんだもんよ……我慢出来ねぇっつうの』

 グロウの告白にリンは自分がおかしくなっていた原因がやっと分かった。

 自分はこの男が好きなのだ……。

 良く考えれば、今までの人生でまともに恋をした事は無かった。
 グロウはキャラの事が好きだと思い込んでいたから……それが、グロウの愛情たっぷりのキスで目覚めた。
 しかし、自分がグロウ相手にそういう感情を持つハズが無い、と暗示がかかっていたので分からなかったのだ。

「やだ……子供みたい……」

 自分の気持ちにやっとこさ気づいたリンは、真っ赤になって恥ずかしそうに俯く。
 まるで初恋に戸惑う少女のようだ。

『つうか意外。……お前が俺を好きになるとは思って無かった』

「……まだ好きとは言ってないわよ……」

『ツンデレかよ?……まあ、いいけどな』

 グロウはリンの顎に手をかけて上を向かせた。

『お前の……傍に居ていいか?』

 優しい光を湛えた金色の獣の目が、アメジストの瞳を捕らえる。

「……覚悟しなさいよ……一生こきつかってやるから!!」

 リンは背伸びして自分からキスした……この間のグロウのように愛情をたっぷり込めて……。


「15歳!?」

「あぁ、精神年齢がな」

 アースとキャラはリンの家の窓の外で、中の様子を盗み見ながらコソコソ話していた。

「親父と体を共有していた時、表立って動いていたのは親父なんだ。リンはあんまり人前に出る事が無かった。だから、知識が豊富で経験があるように見えるが、自分自身の経験値は実のところ極端に少ないわけだ」

「まさか恋愛した事が無いとはねえ……」

 他人の事は良く見ていたから分かるが、自分が経験するとなると全く違うので戸惑ったのだろう。

「……俺も……リンがあんな乙女の反応するとは思わんかった」

「ときめいた?」

 からかうキャラにアースは嫌な顔をした。


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