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夏の忘れもの
【OL/お姉さん 官能小説】

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夏の忘れもの-1

 
 俺はDVDをニ枚、店員に差し出した。
 休日前である。深夜であったが、客はそれなりに多く、後ろには数人並んでいる。
 周りの目が、少し気になった。
 差し出したDVDは十八歳未満禁止のもので、俺は十八歳ではあるが、まだ高校生である。DVDは、素人ナンパものでシリーズ化されており、好んで借りていた。
 今日は是非これで、発散したい。
 
 こんな俺にも、一応は彼女はいるのである。だが、進展がない。
 自分で言うのもなんだが、彼女はなかなかの美人で、しかも頭も優秀だ。
 そして、俺にとっては優秀すぎた。俺と全く釣り合わない。彼女は、清らか過ぎる。
 手を出すにも、俺が気後れしてしまう。彼女には、隙らしいものがどうにもなかった。
 そういう訳で、彼女とは実に健全な交際なのだ。健全すぎて、ストレスが溜まった。
 
 店員が、何かバーコードリーダーのような機材を使って、貸出処理をしている。
 女の店員である。少しドキドキした。そんな俺の顔と、店員の目があった。
 あれ、この顔は……。お互いの時間が一瞬止まった。
 そして、俺の頭の中に、衝撃が走った。

「あれ、あんた……アキラじゃない!?」
「えっ、マキ先輩、です、か!?」

 
 その後、もうすぐあがり時間だからと、しばらく待つよう命じられたのだ。
 そして今、俺は彼女と並んで歩いている。
 果たしてその女店員は俺の中学時代の先輩なのだが、俺は少し苦手にしていた。
 正直に言うと、ある弱みを握られているのだ。
 だが先輩、随分変わったな……。
 目が合うまで、まったくそうとは気づかなかった。女らしく、化粧をしている。
 それが、まず衝撃だった。女は変わるものなのか。彼女も俺の2つ上なだけなのに。
 
 やや小柄で、スレンダーな体だったが、出るところは出て、メリハリのある体つきになっていた。髪は、昔とあまり変わりがない、茶髪のショートヘアである。
 顔つきは、昔と比べると、かなり穏やかになった気がする。
 
 実は彼女は、いわゆる不良グループの一人で、俺はその子分のようなものだったのだ。
 その時は彼女が怒ると、目が釣り上がって大変怖かったものだが、今は少々キツめに見えるお姉さんだ。だが、意志の強そうな瞳は相変わらずだったかもしれない。

「アキラ、あんた、あんなDVD借りてるようじゃ、まだ女いないのねぇ」
「ああいうのは、いても借りてしまうもんなんですよ」
「何を、生意気な……へぇ、じゃあ、彼女、いるのかい?」
「ええ、いますよ」
「へえ、どんな?」

 俺は携帯を見せると、以前写メで撮った彼女の顔を見せた。
 マキはそれを見ると、はぁ〜、へえぇ〜? 嘘じゃないのか、などと驚いている。

「なんか似合わない彼女だねェ……アキラ、あんたそんなんじゃなかったのに」
「よしてくださいよマキ先輩、俺はもう不良はやめたんです」
「あたしだって、そうだけど、人って変わるもんなのねぇ」
「先輩も、変わりましたよ……俺、気づきませんでしたもん」
「ふふ、そうだろ? ねぇ、あたしのアパートそこなんだ、上がっていきなよ」

 思いの外、昔話に花が咲いていた。そこに、過去の恐ろしげな彼女はもういなかった。
 やや彼女の生活ぶりにも興味が湧いてきた俺は、その提案にのることにした。


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