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hangover
【OL/お姉さん 官能小説】

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コロと教育係-3

「あ…よかった。目覚めました?」

次に気がついたときには私は見知らぬ部屋のベッドの上に横たわっていて、ベッドサイドで西島が微笑んでいた。

「…ごめん…ここ…」

「オレの部屋です。すみません、榊さんちわからなかったし…病院連れて行ったほうがいいのか迷ったんですけど…あんまり寝心地よくないかもしれないですけど、今日はこのままここに泊まっていってください。オレ、向こうにいますから何かあったら呼んでくださいね」

「いや、これ以上迷惑かけれないよ。もう大丈夫だし、帰る…」

起き上がろうとした私を西島はベッドに押し戻す。

「ダメです。そんな状態で帰せるわけないじゃないですか。まだ顔色だって悪いのに。どうしてそんなに無理するんですか?無理しないでくださいって言ったじゃないですか」

「…ごめん…」

あまりに真剣な表情に、素直に謝るしかなかった。

「オレ、頼りないかもしれないけれど、こういうときくらい甘えてください。今水持ってきますね。少し水飲んだほうがいいです」

ワンルームのようだ。ベッドから離れた西島がキッチンの小さな冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターをとってきてくれた。

「飲ませてあげましょうか?なんなら口移し…」

「断る」

「あ、よかった。いつもの榊さんで」

そう笑うとご丁寧にキャップを外し、私を起き上がらせると手渡してくれた。受け取った水を飲む。

「ありがと…」

「苦しくないですか?ほんとは、衣服とか緩めたほうがよかったのかもしれないんですけど、意識ない女性の服に手をかけるのはどうかと思って…」

「ありがと…意外に紳士なのね」

「いや、脱がそうとした瞬間榊さんが目を覚ましたらビンタくらいそうだなぁ、って思って」

「ビンタくらいじゃ済まさないけど。って冗談よ。ホントありがと」

たぶん、私を気遣ってワザとそんなくだらない冗談を言ってくれている。コイツはそういうコ。

「オレの服でよければ着替えますか?そのままだと服、シワになっちゃうし。もしよかったらシャワー使ってください」

「うん。そうさせてもらう」

西島に甘えるのは気が引けたけれどそう答えると、ちょっと待ってくださいねとクローゼットの中から濃色のトレーナーとバスタオルを出してくれた。

「ここ、脱衣所なんて気の利いた場所ないですから、ここの仕切り閉めておきますね。洗面台にお泊まりセットみたいなの置いてあるからよかったら使ってください」

一緒にハンガーも渡されて西島に見送られてバスルームへ。洗面台をのぞくと、コンビニでよく売ってる女性向けのトラベルセットと1回分にパウチされたメイク落としや基礎化粧品のセットが置かれていた。わざわざ用意してくれたんだろうか。ありがたく使わせてもらってシャワーを借りる。何やってんだろう、私。後輩を励ますつもりが後輩に迷惑かけて、心配されて。西島にすっぴんを見せるのはちょっとためらいがあったけれど、そうも言ってられない。用意してくれた化粧水と乳液で肌を整え、背の高い西島が貸してくれたトレーナーを背の低い私が着るとちょうどミニワンピみたいな丈だった。

「ありがと…」

「具合大丈夫ですか?あ、ドライヤー用意するの忘れてました。すみません」

「大丈夫よ」

「あ、お詫びにオレに髪乾かさせてもらえませんか?」

「え?自分でできるよ」

「コレでもオレ、元美容師のタマゴですよ?」

そういえばそういう専門学校に行ってたって前に聞いたことがあった。

「じゃぁ、お願いしようかな?」

「喜んでっ」

「美容師っていうより、それじゃ居酒屋の店員さんじゃない」

「あ、やっと笑ってくれた。お客様、ではそちらにお掛けください」

おどけた西島に手で座椅子に座るように促され、大人しく腰を下ろす。丁寧にタオルドライしてくれたあと、ドライヤーで乾かしてくれた。

「なんかホンモノの美容師さんにやってもらってるみたい」

「へへへ。ちょっと嬉しいです」

「カットとかもできる?」

「できますよ、一応美容師免許持ってますし」

「そっか。じゃぁ今度西島にカットしてもらおうかな」

「マジですか?切っちゃうんですか?こんなキレイな髪なのに?」

最後にキレイにブラッシングしてもらった。

「さっすが。口うまいなぁ」

「いや、ほんとキレイですって。肌だってキレイだし。すっぴんでもそんなに変わらないし」

「またまた。最近飲んだくれてばっかりですから、肌アレもひどいもんですよ?もう若くないから回復力もおっそいし」

「…榊さん。何かあったんですか?」

ふと、西島のトーンが落ちる。

「何かって?」

「いや…最近、なんとなく元気ないなぁ、って思って。毎日のように二日酔いだっていうし…オレ、話聞くくらいしかできないですけど、話したら少しはすっきりするんじゃないかな、って…」

「フラれたのよ。学生時代から付き合ってた年上の彼氏にね。笑っちゃうでしょ?たかがフラれたくらいで酒飲みすぎて具合悪くなんて」

なんで正直に打ち明けるつもりになったのかわからない。飲みすぎて酔っ払ってるんだろうか。口にしたら認めたことになりそうでずっと誰にも言えなかったのに、なんで西島にはすんなり話せるんだろう。

「…笑ったりなんかしませんよ。そうなっちゃうくらい、真剣にその人のこと好きだった、ってことですよね?」

「もうね…好きだったのかどうかさえわからない。最後は意地だったのかもしれない」

「意地?」


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