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凶眼
【制服 官能小説】

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〜第1章〜 水曜日 レアン-2

 「通行の邪魔、ぼさっと歩くな」
 まるで当然とばかりに追い抜くと、振り返ることなく速足で学園へ向かう。
 陸上部の短距離選手は、ゆっくり歩く人間に恨みでもあるのだろうか。わざわざ叩かなくてもいいだろう。
 もっとも、僕にとってこれは驚くことない日常茶飯事である。どうも彼女はアニメに偏見があり、アニメが好きな者は皆オタクで、オタクはいつもいかがわしいことを考えてると思いこんでいるようだ。
 以来、事あるごとに悪意を向けられ、僕としてはたまったものでない。極力関り合いになりたくない相手の一人だ。
 やはり女の子の理想はああいうガサツなのでなく、明るくて可愛いプリティブラックのルシールちゃんや、清楚でお淑やかなプリティホワイトのセラフィちゃんみたいなのがいいなぁ‥
 ルーデンス高等学園の正門をくぐる頃、僕はすっかり日常の雰囲気を取り戻していた。
 ドクン‥
 そう思った矢先、僕の心臓が高鳴った。いや、違う。僕の鼓動じゃない。
 胸もとに手を当てると、硬い石の感触がかえってくる。
 今のは‥まさか‥
 「わっ!」
 再びドシンと衝撃が走る。また背中を叩かれたのかと思ったら、今度は誰かにぶつかったようだ。振り向くと、不機嫌そうな顔が僕を見降ろしていた。まずい、朝連帰りのバスケ部だ。
 いきなりの目の前に星が散った。
 熱い痛みに呻き、目をあけると地面が間近に見える。どうやらいきなり殴られたようだ。
 「おう、どこ見て歩いてんだ!」
 聞き覚えのある声が上のほうから聞こえてきた。まずい中でも最悪だ。こいつはバスケ部のエース、リック・ジョンソンだ。
 恵まれた体格に恵まれない知性。“恐竜”の異名を持つバスケ部の得点王は、学園の内外を問わず暴力事件を起こす問題児である。しかし彼の活躍で、スポーツでは三流校にすぎないルーデンス学園が、一躍強豪の仲間入りを果たしたため、学園側も表立った処罰ができずにいる。結果学内に暴君がうろつき回ることとなり、困ったことに、その牙は今こちらを向いていた。
 「何とか言えよ、おらっ!」
 容赦のない蹴りが僕の腹を狙うが、夢中でかばった腕に当たり直撃は避けた。しかし腕は折れたんじゃないかと思うほど痛む。理不尽ながらも、天敵リーエンのほうがまだましだ
 周りのバスケ部員からおざなりな制止がかかるも、全然説得力がない。続く攻撃を予期して、本能的に身体を丸めた。
 「何をしてるの、やめなさい!」
 今まさに第二撃が振り下ろされようとする寸前、よく通る凛とした声が辺りに響きわたった。


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