君のいる景色 -1
頬にさらりと髪が触れ、無意識に手を伸ばしてその髪を撫でる。
ピクリと反応して逃げようとするのを、力ずくで止めて引き寄せた。
頬と頬が当たり、それに甘えるように擦り寄って唇を探る。
見つけた唇を舌でなぞり挟むようにキスして……あれ?
違和感に目を開けて見ると、目の前には頬を紅潮させて硬直してるミヤ。
「……悪ぃ……寝ぼけてた」
アースは気まずそうにミヤを引き寄せていた手を離す。
「い、いえ……」
熱を計ろうとして、とんでもない目にあったミヤは頬に片手を当ててアースから体を離しつつ右腕を指さした。
「それより、右手……大丈夫みたいですわね」
ミヤを引き寄せていたのは右手だった。
「おおっ、さっすが医療系魔導師!違和感も無ぇぜ!!」
アースは体を起こして右手をぐるぐる回す。
「ちょっ……ダメですわよ!!」
まだ無理するな、とミヤはアースの動きを止めようと慌てた。
「いっ!!」
右肩にビキッと痛みが走り、アースは肩を押さえてうずくまる。
「ほら……もうっ」
ミヤはアースの背中に、城から持ってきたクッションを当ててもたれるように促した。
「はは……嬉しくてつい……てて」
クッションにもたれたアースは苦笑しながらミヤの顔をジーッと見る。
「何ですの?」
見つめるアースに居心地悪そうにミヤは聞いた。
「ありがとうってお礼と……結婚おめでとう」
アースの言葉にミヤは真っ赤に顔を染め、今度は両手を頬に当てる。
「あ……ありがとう……でも、貴方が魔力提供してくれなかったら、まだ時間がかかってましたわ……それも含めて……ありがとうですわね」
「じゃ、これでチャラだな」
2人は顔を見合わせて笑った。
実際に会ったのは数える程しかないし、あまりベルリアもミヤの事は話さないので何となく照れ臭い。
「今何時だ?」
「お昼ですわ。そろそろ姫様達が城を出発しますわね」
奇襲チームは夜のうちに出発し、洞窟内を移動中。
キャラのメインチームは夜しっかり休んで、昼頃城を出ると聞いてきた。