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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・ヒリャルロアド-30

「ぅく……けふっ……はっ……」
 せわしなく息をする深花の頬から耳へ、彼は口づける。
 口腔どころか喉まで犯すような勢いのキスは、深花には少し早かったようだ。
 それでも文句を言わないのはこれがただ体を交わらせるための前段階ではなく、自分への懲罰を兼ねている事を説明されているからだろう。
 頬や首に唇を触れさせて呼吸が落ち着くのを待ったジュリアスは、落ち着いた深花に優しくキスした。
「もう勝手に、俺の傍から消えるな」
「ジュリアス……」
 深花は思う。
 一緒に暮らし始めた時、この男は自分を見ろちゃんと目を合わせろと不満をぶつけてきた。
 そして今回、自分が出奔してしまった事でマジギレしているとティトーは言う。
 どちらの件も自分が悪いのは弁解のしようがないが、一人の女を抱え込んだだけでこの男がここまでぐらついてしまうようになったという事実に、驚きを禁じ得ない。
 自分にこの男をこんなに揺らがせてしまう価値があるとは、到底思えなかった。
「いいな?」
「……いいの?そんな事を言う人が私で」
 だから気づいた時、その言葉は自分の口からするっと漏れ出ていた。
「お前以外の誰に、こんな事を言えってんだ?」
 心底不思議そうな顔をするジュリアスを見て、深花は反省した。
 自分は、彼を見くびっていたのだと。
「……どうやら、まぁだ血迷った事を考えてるみたいだな?」
 それに感づいたジュリアスは、すっと目を細める。
「まあいい。二度とこんな馬鹿げた事をしないように、たっぷり教え込んでやる……ったく!」
 苦笑して、ジュリアスは深花を褥に押し倒す。
「お前は、俺が手をかける価値のある女だ……地の果てまで逃げたって、絶対連れ戻してやる。俺の傍にいろ。俺には、お前が必要なんだ」
 迷ってはいけないのだと、深花は思った。
 自分が迷っているから、ジュリアスが惑わされる。
 惑いは、この男に不要。
 揺らがぬ決意の元、まっすぐに道を見据えて突き進むのが彼には似つかわしい。
「うん」
 素直に頷いて、深花はジュリアスに口づける。
「ごめんね……もう逃げたりしないから」
 それを聞いて、ジュリアスがくすりと笑う。
「俺は生半可な気持ちでお前を選んでない。お前も、覚悟は決めとけよ」
 聞いた深花が不思議そうな顔をするのは、自分のしゃべりが現代語ではなく始源記と同じ時代の旧い言葉だったからだろう。
「ふぐ」
 言葉を理解できなくて戸惑っている深花の唇を、優しく塞ぐ。
 色気のない声に思わず笑ってしまうが、ジュリアスは唇を顎から首へと滑らせていった。
 匂いや味や、久しぶりに全身で感じる女の体。
 滑らかな肌に被われた首を、何度も吸い立てる。
「……あ……!」
 吸われる度にぴくぴく震える深花の服を脱がせると、目に染みるほど白く眩しい素肌が現れる。
 かと思いきや、胴のほとんどはビスチェに被われていた。
「ガードが固いなおい」
 白い布地に黒いリボンと紐でアクセントを効かせた下着だが、今まで見た事がない気がする。
 とりあえず背中に手を回し、体を締めている紐を解いた。
「あ……」
 シーツを握って恥ずかしさを堪える深花から、ビスチェを剥ぎ取る。
 ぷるん、と乳房が窮屈そうにこぼれ出た。
 ジュリアスの手に心地いい、大きすぎず小さすぎずの程よいサイズ。
 先端とその周辺は、初々しい薄桃色をしている。
「んっ」
 突起も堪らない魅力を醸し出しているが、まずは身の詰まった膨らみからだ。
 軽く乳房を掴むと、深花が小さく声を漏らす。
 やわやわと揉みしだいてやれば淫らな刺激に反応して、乳首が硬く勃ち上がった。


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