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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』
【SF その他小説】

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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜第三部』-71

「お疲れ」
 一足先にコクピットから降りていたエリックは、その一言でX2を迎える。
「…………」
 何故か、X2は動きを止める。
「どうかしたか?」
 その様子を不審に思ったエリックが、尋ねる。
「意味の理解に、暫し時間がかかった。以前、カゲトラ博士に聞いた言葉だ」
 思えば、労いの言葉をかけられる事など殆ど無かったのだろう。
カゲトラの様子からも、伺えた事だ。
「………そういえば…レイヴァリーはどうなった……?」
 カゲトラは無事だろうか?考えても、余り良い方向には思考がいかない。
「未確認だが…逃走中、ナビアのワーカーから送信された映像を傍受。情報が期待できる」
 さすが、ただベルゼビュールに担がれていただけではないようだ。
「…レイアーゼのモニタで再生可能だ」
 X2はそう言って、視線でX2機を指したのだった。

「暗号化は、されてないのか…?」
 X2と二人でレイアーゼのコクピットに入ったエリック。
昔、こんな感じでクリスとミネルグのコクピットに入った事を思い出すが、振り払う。
「そのようだ。何かの罠か或いは…」
 言いながら、X2はコンソールパネルをいじる。
「余程慌てて居たか、か?」
 エリックの言葉に、X2は頷きで応える。
メインモニタに、ノイズの混じった映像が映し出される。
レイヴァリーと、その周辺に位置するH・Sのワーカー部隊。
ここまでは良かったのだが……
「これは………?」
 レイヴァリーの北ゲート…つまり正面ゲートが、大きく開いていた。
そして、正面ゲート近くに居たH・Sのワーカーが爆発と共に吹き飛ぶ。
映像が、正面ゲートに向けてズームする。見れば爆発の煙に包まれた正面ゲートから、何かが湧き出すように出現していた。
恐らくこれが、ギザが最後に言っていた『謎の勢力』なのだろう。
そして『謎の勢力』は次々と爆発を起こしながら、H・Sのワーカー部隊を吹き飛ばす。
やがてナビアのワーカーが映すこの映像にも、『謎の勢力』の姿が確認できるようになる。
そしてその姿に、エリックは見覚えがあった。
「…どういう事だ………?」
 呟くエリック。
映像は、この映像を映したワーカーの近くに爆発が起こった時点で途切れていた。
モニタと、その明かりに照らされていたコクピットに、闇が戻る。
「…映像終了…………エリック?」
 問いかけるX2。エリックは、考え込むように俯いたまま、反応しなかった。
その頭の中にあったのは、疑問。
映像に映っていた『謎の勢力』とは、エリックが昔のクリスと共に地下で見た、二足歩行メカの群れだったのだ。


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