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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』
【SF その他小説】

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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜第三部』-38

「なんだっ!?」
 エリック達を囲んでいた兵士達に、動揺が走った。
その機を逃さず、エリックは近くに居た兵士の顎に拳を叩き込み、持っていた銃を奪う。
顎を強打された兵士はかくんと倒れ、エリックの蹴りを腹に喰らって完全に沈黙する。
エリックは、レイチェに照準を合わせていた兵士に向かって奪った銃を投げつけた。
撃たないのは、本人認証のロックがかかっていた時の為である。
投げられた銃を払い除けた兵士が、エリックに向かって銃を構え…
「が…っ!?」
 横合いからギザに殴り倒される。
「よし、乗れ!」
 隊長の声に振り向けば、トレーラーがゆっくり動き出している。
ちなみに、兵士たちは既に全員行動不能だ。
ギザは素早くトレーラーの扉にしがみつき、乗り込む。
エリックもそれに続こうとして、ふと立ち止まった。
「何やってる、行くぞ!」
 叫んで、レイチェの腕を掴む。
彼女は、ぺたりと地面に座り込んでいた。
腕を掴まれて、レイチェはびくっとエリックの方を振り向く。
「エリック……さん…?」
 何処か呆けたように、呟く。
「立て!置いてかれるぞ!」
 エリックは無理やりレイチェの腕を引っ張り、立たせようとする。
「こ…腰が抜けて……すいませきゃっ!」
 謝るレイチェの言葉を最後まで聞かず、エリックは彼女を抱き上げる。
ルキスよりは少し重いが、苦になる程でもない。
「早く行くぞ、しっかり掴まれ!置いてけぼりはごめんだ!」
 怒鳴って、そのまま走り出すエリック。だがトレーラーは、速度を上げて行く。
恐らくは、ここで速度を落としては危険だという判断からだろう。
レイチェを抱えたエリックに追いつけるはずも無く、トレーラーはどんどん遠ざかる。
「ちっ!」
 舌打ち一つして、エリックはそのまま走り続ける。
ここで止まった所で、ろくな事にはならない。
ならば変前林まで走った方が良い。
「ん……?」
と、前のトレーラーから何かが投げ落とされた。
見れば、ハンドマシンガンが二丁と、マガジンが幾つかである。
恐らくは隊長かギザが、落としてくれたのであろう。
「あ、あの……これからどうしたら……」
 震える声で、レイチェが聞いてくる。顔はもう真っ青だ。
「とりあえずこれを持ってろ。」
 エリックは短く答えると、レイチェを片腕に抱き替えて落とされた物を拾った。
そして持ちきれないマガジンとハンドマシンガン一丁はレイチェに持たせる。
「は、はい………」
 エリックは、再び走り出す。
幸い、まだ警備隊は混乱しているらしい。突破もできなくはないだろう。
とはいっても、成功確率は五分五分といった所だろう。そうエリックは推測する。
かなり前の方で、ローラ達三人がトレーラーに飛び乗るのが見えた。少し羨ましくなる。
「とにかく、お前もひたすらに撃って弾幕を張れ。」
 短く言うと、エリックはハンドマシンガンを辺り構わず乱射し、レイチェもそれに倣う。
そのまま何も考えずに撃ちながら走り、警備ラインを突破する。
いささか腕が痺れるのは仕方ない事だ。
ワーカーは、別働隊の三人が無効化してくれていたらしい。
「後ろ、弾幕頼む!」
 振り向いている訳にも行かず、エリックはハンドマシンガンを投げ捨て速度を上げる。
「はいっ!」
 エリックの腕から身を乗り出し、ハンドマシンガンのマガジンを交換、掃射する。
そしてそのままレイチェを抱えたエリックは、街道脇に茂る黒々とした変前林へと飛び込んだ。


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