投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』
【SF その他小説】

『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』の最初へ 『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』 161 『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』 163 『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』の最後へ

『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜第三部』-108

と。ついそんな事を考えていたエリックを他所に、ムカデによく似た形状のソレは、前進を止めていたアルファ達の方へと頭をもたげた。恐らく、狙いはトレーラー。
『全体、全速前進!』
 アルファもそれに気付いたか指示を飛ばす、と同時に昆虫の口(?)に当たる部分が開き、中から小口径の砲門が無数に姿を現した。同時に始まる発砲が地面に穴を穿ち…いや、地面を抉りながら、前進するトレーラーとそれを警護するアレク機とバフォールに迫る。
アレク機が、思わず飛びのいて銃撃を避ける。だがトレーラーはそういう訳にもいかない。
「…ちっ!」
 ベルゼビュールのイオンブースターを発動させながら、エリックは舌打ちと共にムカデ型ロボットの方に突っ込んだ。だがイオンブースターは吸気音を響かせるだけ。まだ準備中らしい。
『……っ』
 遂にトレーラーが銃撃に食いつかれ、アリシアの声が微かにスピーカーから流れる。
『せやぁっっ!!』
 と、ビルの窓辺に足をかけて跳躍したバフォールが、上空からムカデの頭部を強襲する。上からナックルで殴り倒され、ムカデの頭部が激しく地面に叩きつけられる。
 それを見届けたエリックは、バフォールが飛びのくと同時にビルから生えている胴体部に向かって、マシンガンの掃射を開始する。しかし丸みを帯びたムカデの金属甲殻とその厚みが弾を滑らせるのか、表面に凹みを造る事すら適わない。なるべく直角に弾丸の進入角度を作った所で、精々傷をつけるだけだ。先ほどのナックルの一撃にしても、やや装甲を凹ませたのみ。ダメージは皆無といって良いだろう。
「…硬いな……」
 眉根を寄せて、エリックは呟く。恐らく効果があるのは、ボムくらいのものだろう。
『ナックルじゃ決定打にならないですね…ニードルガンを使うしか…』
 と、目測を働かせているエリック達を尻目に、ムカデは胴体から生えた足を突っ張るようにしてビルからずるずると這い出す。遠ざかるトレーラーを追いかけるつもりのようだ。
『トレーラーの被害状況はっ!?』
『左後輪四つと後部装甲を破損。走行は可能ですが、速度に支障が出ています』
 後部片輪がやられた所為でハンドルがとられているらしく、アリシアの言葉通りにトレーラーの速度は目に見えて鈍っていた。これでは敵から逃げ切るのは難しいだろう。
『…止めないと…っ!』
焦ったように、バフォールがニードルガンを使用する。ニードルガンの鋭い弾丸は分厚い装甲を突き抜けるが、その穴は大きく見積もっても精々三センチ。効果がありそうにもない。連射が利けば良いのだろうが、ニードルガンはその構造上連射が不可能である。
バフォールの撃つニードルガンに与えられる小さな傷。そんな傷などお構い無しに体を引き出し、トレーラーの方に向くムカデ。胴に沿うように生えた無数の脚部が、ビルから出ると垂直に向きを変え、十メートルはあるであろう胴体を持ち上げた。
ベルゼビュールはムカデに対してマシンガンを掃射し、注意を引こうとする。が、ムカデはそんなベルゼビュールを気に留める様子すらない。
「くそ、こっちは無視か……!」
 目前で無視を決め込まれ、さすがに鼻白むエリック。なんとかムカデを止めようと、腰部からボムを射出。ムカデに向かって放り投げた。
 ボムはムカデに命中、そして爆発して粉塵を撒き散らし……
(やったか……?)
 エリックは、心の中で小さく呟いた。しかし。そこに居たのは足が一本吹き飛んだだけのムカデ。どうやら足を一本盾にする事で本体への損傷を避けたらしい。ボムの効果まで薄いとなれば、現状でムカデを倒す手段は無い。


『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』の最初へ 『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』 161 『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』 163 『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前