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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』
【SF その他小説】

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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜第二部』-18

第九話・手繰り合う糸
 《変後暦四二三年十月十三日》


 「で、遂に研究員のトレーラーに忍び込んだりしてみたんだけど……」
「…居なかったんだな。」
 エリックとクリスの二人は、昼食をつつきながら話をしていた。
クリスはなんと研究員用のトレーラーに忍び込み、色々あさって来たらしい。
だが、例のパイロットは結局見付からずじまいだったという。
それもその筈。アルファはエリックと一緒に居たのだ。面白いほどに、入れ違っている。
クリスには悪いが、それがいつまでも続けば良いなと、エリックは思う。
クリスとアルファが出会えば、そこにあるのは闘いかもしれないのだ。
というか、ほぼそうなるだろう。
やはりアルファの事を話すのは止めておこうと、エリックは思った。
「もぅ……どんだけ苦労したか…まぁ、全く収穫が無かった訳でもないんだけど。」
「収穫?なんだ?」
 得意げになるクリスに、思わず訊ねるエリック。クリスはにやりと、悪戯な笑み。
「知りたい?」
「…………別に良い…」
 このパターンからいくと、知ろうとすればするほど、隠される気がした。
「…素直じゃないわねぇ………んじゃ教えてあげない。」
 むくれてそっぽを向くクリス。…どうやら選択を間違ったようだ。
………。
…かなり気になる。
「……すまなかった。知りたい。」
「あはは、最初っからそう言えば良いのよ。」
 エリックの言葉を聞いた途端、クリスは破顔した。乙女心は判らない。
「実はねぇ………あ…また後で会いましょ。どうせ訓練室に居るでしょ?それじゃ。」
 言いかけて、クリスは急いで食事を片付け始める。
「お、おい……?」
 どうしたのか訊ねようとした途端。エリックはその理由を知った。
いきなり隣の椅子に、ミーシャが腰掛けて来たのだ。
「よ、よお、ミーシャ。」
「邪魔?」
 エリックにちらと目をやった後。クリスをその切れ長な目で見つつ、ミーシャは訊ねた。
その様子は、なにかを探っているようにも見える。
「ううん、ちょうど行こうと思ってた所だから。」
 にっこり笑ってしゃあしゃあと言うと、クリスはトレイを持って立ち上がる。
「それじゃね。」
 軽く手を振り、そのままテーブルを離れて行く。
「ああ、またな、クリス。」
 エリックも軽く手を上げ、それに答える。
「仲良いわね。」
 静かに食事しながら、ミーシャは言う。何故か責められているようで、落ち着かない。
「ま、まぁな………」
 何となくそわそわしたまま、エリックは答える。
「親友がどうなったかも判らないのにね。」
「う……」
「冗談。責める気は毛頭無いわ。」
「お前な……」
 エリックの方を見もせずに、しれっと言ってのける。
思わず呻くエリック。と、その時。
「エリックサ〜ン!!」
 既に聞きなれてしまったマシンボイスが、響いてきた。
「…ああ、アルファか。…お前たちも昼飯か?」
 言いながら振り返った先には、やはりアルファとアリシア。
「…今日は研究員用のトレーラーで摂りました。アルファがシミュレーターを使いたいからエリックさんのIDカードを借りたいと……」
「トイウ訳ナンデスヨ〜!」
 IDカードというのは、とても大事なものだ。それをいきなり貸してくれとはなかなか良い度胸だ。まぁ、しかしアルファなら悪用しないだろう。というか悪用の仕方も知らなさそうだ。とりあえず、信用はできると思う。
「って待てよ……俺が一緒に行けば良いんじゃないか?」
「あ………」「確カニ……」
 思い付いたエリックの言葉に、顔を見合わせるアリシアとアルファ。
「それを真っ先に考えろよ……」
「…デモ、時間空イテルンデスカ?」
「気にするな。どうせここじゃ訓練位しかやる事も無いからな。
 苦笑し、エリックは食器を片付ける。


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