Crusade Ⅳ-1
ラスプーチンは退屈していた。いや、正確には待つことに疲れていた。アナスタシアの寝室にいる彼は、天蓋付きの豪奢なベッドで犬のように四つん這いになり、雪のように白い尻を向けるアナスタシアの菊門を舌で責めながらも倦怠に身を蝕まれていた。
「ひっ……ああ……やめてっ……そこだけは……ああっ……んあっ！」
不浄の穴として、その場所での性交渉を固く禁じる教会の教えは、性奴隷と落ちたアナスタシアにもまだ残っていた。彼女は自らの菊門を最愛の主人たるラスプーチンに見せることにすら躊躇いを覚えていた。それが彼の舌で弄ばれるとなれば、羞恥に顔を染めていた。だが、その感情とは反することに、菊門をラスプーチンの舌がつつき、皺を丁寧になぞると、自然と嬌声が漏れ、秘部は潤っていくのだった。
室内には、警備のためか、一人の兵士が扉の前に立っていた。室内だというのに兜をしっかりと装着したその者は、天井に届くかと思わんばかりの背丈をしていた。兜の外からでもわかる鋭い眼光を窓の外に向けながら、彼の関心は一切目前で繰り広げられるアナスタシアの痴態に向かうことはない。もっとも、天蓋付きのベッドにはカーテンがあり、それが湿られているのだから、彼がアナスタシアを直接見ることはできないのだが。
「ひゃっ！ ああ、ご主人様、どうか、どうかそんなところではなく……ンアっ……前に、前を責めてください」
弱々しい抗議の声を上げたペットを見下ろすラスプーチンは、黙ってその舌を彼女の菊門へとねじ込んだ。彼女の菊門は異物を拒否するように収縮しようとするが、すかさずラスプーチンの手が彼女の秘部にある小さな突起を転がし、脱力してしまう。舌が菊門に突き刺さり、アナスタシアはひときわ強く喘いだ。だが次の瞬間には、ラスプーチンがその舌を勢い良く引き抜いていた。
「んああああ！」
アナスタシアが四つん這いの体勢で仰け反る。目には驚愕の表情と、涙が浮かんでいる。突然起こった凄まじい快感が、彼女を混乱させたのだ。ラスプーチンはそのまま舌で彼女の肛門を犯し続けた。抽送が繰り返され、アナスタシアは情けなく腰をガクガクと震わせた。そしてラスプーチンがその指を二本彼女の秘部へと突き立て優しく掻き回し、そしてもう片方の腕で彼女の陰核をこねくり回した。
「ッ！ ひゃ……あああああああああああ！」
細い体全体を痙攣させ、アナスタシアは絶頂を迎えた。呆気無く、そして盛大に。
「ペット如きが、主人の戯れに文句をつけるのかな？」
声色だけは優しく、ラスプーチンはペットに声を向ける。アナスタシアは絶頂直後の余韻に浸ろうとしていたが、主人の問いかけにびくりと体を震わせると、必死に首を振って意思表示を示そうとした。絶頂の影響でまだ口がうまく回らないため、体だけを使って恭順の意を示している。彼女は、この主人の不興を買えばどんな仕打ちが待っているか、熟知しているのだ。
だが、ラスプーチンは嗤う。彼女が快楽の余韻で呂律が回らなくなっていることを承知して、さらに彼女を弄ぶのだ。
「んー、忠誠の言葉が聞こえないなあ」
足を組む彼は、膝に肘を乗せ頬杖を付いている。そしてもう片方の手だけで、アナスタシアの両方の穴を器用に弄んでいた。しなやかに動く指に翻弄され、ラスプーチンの思うまま嬌声を漏らすアナスタシアは、楽器の如き存在だった。彼の中指が彼女の秘部に侵入して内部から彼女を責め、時折人差し指で陰核をさすってやる。彼女の意識が秘部に集中すると、指を少し抜いて親指で菊門への責めを始めるのだ。
アナスタシアは彼女の主人になんとか忠誠の言葉をかけようとするのだが、ラスプーチン本人はそれをさせようとしない。
「わっ……わた……し……は、アアっ！ ごしゅ……ご主人様の……んっ。あっあっあっ……」
秘部から波のように押し寄せる快楽と、陰核を擦られることで起きる電撃のような快楽、そして菊門からの背徳的な快楽を前に、アナスタシアの顔は蕩けきっている。それでも服従の言葉を探して口を動かす彼女は健気なペットであった。だが、二度目の絶頂は早い。快楽に敏感になった体は、ラスプーチンの責めにあっさりと陥落する。再び体を反らせ嬌声を上げて、アナスタシアは堕ちていく。
二度奴隷を陥落させただけでは到底ラスプーチンは満足しない。次にどのような責めをしようかと、ラスプーチンは思案しながら指を動かしてアナスタシアを責め続けていたが、彼の思案は力強く叩かれる扉によって中断された。
叩かれた扉は、どうやらノックのつもりだったようだ。次の瞬間には扉は開け放たれ、髪も髭も真っ白な男が憤怒の形相を隠そうともせず立っていた。
「おや、どうされたのですか、ブランコ卿？」
ボルジア家普代の重臣、ブランコ卿は彼の仕える血筋であるアナスタシアの私室に当然のように居座るラスプーチンを見て、その怒りを抑えられなかったようだ。アナスタシアを前に怒声が響き渡る。
「貴様ッ、此度の教会襲撃、全て貴様の差金だろう！ よくもあんなことを！ ボルジア領内の聖職者を皆殺しなどと……法皇庁は黙っておらんぞ！」
どうやら、ようやくボルジア王立騎士団の起こした事件を知り、城まで駆けつけてきたようだ。興奮か息切れか、ブランコ卿の肩は激しく上下している。普段は冷静沈着なブランコ卿の取り乱した態度に、ラスプーチンは少しも動揺することはない。
「ブランコ卿、殿下はお休みになっておられます。そのような声を上げるのは、殿下の御前において無礼でしょう」