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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』
【SF その他小説】

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『兵士の記録〜エリック・マーディアス〜』-13

 数十分後、エリック達はロックされた扉の前に来ていた。
その直ぐ上の天井はぶち抜かれ、その穴から半身を乗り入れるようにしているクリスのワーカー。ここに至るまでにも、横の壁をかなりぶち抜いている。
その手の先から、ケーブルが延びていた。
どうやらクリスのワーカーから電気を供給するつもりらしい。
「だけど、ケーブルを刺すプラグなんて無いぞ?」
 エリックの言う通り、扉の周りにはプラグの類は一切無い。あったとしても、規格が違うだろう。
「大丈夫、任せときなさいって。ちょっと、銃返して。」
「銃?ああ、ほらよ。だけどこれが何の役に……」
                    パン!パン!パン!
 銃を渡したエリックが言い終える前に、クリスは扉の真横に銃弾を撃ち込んでいた。
クリスは突然の事に驚くエリックに構わず、そのまま弾を撃ち込んだ穴に、どこで拾って来たのかも判らない鉄パイプを捻じ込む。
「さ、ちょちょいと壁を剥がして頂戴。」
「な、何でそんな事」
「つべこべ言わずにさっさとやる!あんたが頼りなのよ!」
「……了解。」
 ますます尻に敷かれている感じがしたが、頼りにされて悪い気はしない。と思い込む。
とりあえずエリックは捻じ込まれた鉄パイプを掴み、力を込める。
だが壁は想像以上に硬く、朽ちてからの年月を感じさせない。
「ほおらほら、頑張って!」
 茶化すようなクリスの言葉に構わず、耳まで赤くなりながらエリックは更に力を込める。
「言われなくても……ふ…っ!おおおおぉぉぉ!」
 掛け声と共にメリメリと壁のパネルが剥がれていく。
そして。
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音と共に、パネルは床に落ち、壁の中身が露になった。中にはケーブルが数本。
「ビンゴ!ご苦労さん。それじゃ後はあたしに任せて。」
 肩で息をしているエリックを労うと、クリスは壁の中に通っていたケーブルの一本の面を包んでいるゴムをナイフで開くと、むき出しになった線にワニグチのようなクリップで用意していたケーブルを繋いだ。
「あとはこれをこうして、と……」
 呟きながらワーカーのコクピットへと入り、暫く。
プシュッという音を立て、扉は開いたのだった。
「おお、開いた!」
エリックが歓声を上げるが、まだ続きがあった。
「途中までは、な……この隙間じゃ人は通れないぞ……」
 さすがに完璧に動作するには至らなかったようだ。
通信機でコクピット内のクリスにその旨を伝える。直ぐに返答が返って来る。。
「…ワーカーの指が入る大きさなら問題ないのよ。ちょっと下がって。こじ開けるから。」
通信機から聞こえた声と共に、半身を乗り入れているクリスのワーカーが腕を動かした。
そしてそのまま器用に扉の隙間に指を入れると、こじ開けにかかる。
程なくして。
扉は歪にその形を変えながらも、完全に口を開いた。
「よし、やったぞ!」
思わず歓喜の声を上げたエリック。だがその時彼は、ある事に気付いてしまった。
「なぁ……」
気付いてしまったからには、もう見過ごす事は出来ない。
エリックはワーカーから降りて来たクリスに声を掛けていた。
「何よ?」
「さっきの壁を剥がす時のあれも、ワーカーに鉄パイプを引っ張らせば良かったんじゃないか……?」
 その問いに、クリスが一瞬固まる。
その一瞬の間の後。
「さ、扉も開いた事だし、いくわよ。」
 しれっとそう言って、クリスはスタスタと扉の向こうへと歩き出す。
「こら!誤魔化すな!おい!」
 エリックは半ば怒鳴りながら、クリスを追いかけるのであった。


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