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スプーン・ポジション
【女性向け 官能小説】

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隣のオンナ-4


レンタルでAVを借りるのなんて本当に久々で、俺はなんだか変に緊張していた。

この異様なドキドキ感は高校生の時以来かもしれない。

しかし、今日の一件があったおかげで急激に湧き上がった性欲を、絶対に無駄にしたくなかった。



誰にも言っていないことだが、前の会社でリストラにあってからのこの数ヵ月、俺は精神的に追い詰められて性的な欲求が全く湧かなくなってしまっていたのだ。


こんなふうに自分で「抜きたい」と思えるのは本当に久しぶりのことだ。




知り合いがいない町に引っ越して来たばかりという気安さもあって、俺は帰り道で見つけたレンタルショップに立ち寄っていた。


ネットでもこういうもんは色々と見られるけれど、目当てのネタをあちこち探しているうちにいつの間にか気分が萎えてしまうことも多い。


今日のように見たいネタが決まっていて、一刻も早くそれで抜きたい場合は、レンタルのほうが確実で手っ取り早い。


カテゴリー別に並んだコーナーの中から「OL」の札を探し当て、パッケージを一つ一つ見ながら俺の欲求を一番解消してくれそうな一本を吟味する。


ううむ……「OLパンストいじり」もいいが、「淫辱のオフィス!スカートの下の秘密」も捨てがたい……。


悩んだ揚げ句、出演している女優の雰囲気が、今日見たユウキとかいう女に似ていそうな「セクハラパラダイス」という一本を手に取った。


ハズレだと困るので「パンストいじり」と「淫辱のオフィス」も一応借りた。


三枚ものDVDで、ちょっとかさ高くなっているレンタルバッグが恥ずかしい。


学生の頃は早く大人になってAVを堂々と借りたいと思っていたが、いざ大人になってみると、わざわざAV借りるために店員に免許証まで見せて会員証を作っている自分がひどく情けなく感じられた。


手続きが終わるや否や、俺は足早にカウンターを離れると、店内でウロウロしている学生たちから逃げるようにショップを後にした。



――――――――――――――


新しく借りた部屋は郊外にある1Kのハイツ。


寝室も居間もいっしょくたという感じの簡素な住まいだが、俺一人で生活するぶんには十分な広さだ。


今の俺にとって、広すぎる部屋はある意味拷問に近い。


そこにあるべき愛しい笑顔を思い出すだけで、俺は孤独に押し潰されそうになる。


駐車場に車を停め隣の部屋の窓を見ると、ベージュのカーテンの内側で人影がちらちらと揺れているのが見えた。


どんなヤツが住んでるのか知らないが、アイツもここに独りぼっちで住んでるんだろうな……と思うだけでなんとなく仲間がいるようで安心する。


我ながら末期的思想だな……こりゃ。


ため息をつきながら部屋に入って灯りをつけ、持って帰ってきた弁当を取り出す。


仕事を終えて帰ろうとする俺に、寺島がぶっきらぼうに渡してくれたその折箱から漂っているのは、旨そうな回鍋肉(ホイコーロー)の匂い。


『持ってけ―――うちの味覚えんのも仕事のうちだからよ』


なんて言っていたけれど、俺が「テラシマ」の味を覚えるつもりなどないことを、あの人は本当はわかっているはずだ。


俺が本当に必要としている収入は、弁当屋のアルバイトなんかではとても足りるような額ではないからだ。




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