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光の道
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都会の光-9

「由梨、お前聡のことはもう大分いいのか?」

「うん。多分会うと切なくなるけど、引きずってばかりじゃいられないから。」

「そうか…俺さ、」

「里見くん。」

隣から声がした。
そこに片桐さんが立っていた。

「片桐…」

「さっきテーブル行ったらもういなかったから…」


長い沈黙。
片桐さんと目が合う。

なんとなく居づらくて、つい言ってしまった。

「ちょっとトイレ行ってくる。」

そう言ってその場を離れた。

なんとなくあの場から逃げ出してしまったものの、帰るタイミングがわからない。


トイレに行ってお店を見ながらフラフラ歩いていると、腕を掴まれた。
びっくりして振り向くと高橋さんがいた。

「ゆりちゃん!一人?里見くんは?」

「今ちょっと…。高橋さん、こんなとこでなにしてるんですか?会場、戻らなくていいんですか?」

高橋さんはまだスーツのまま。

「もう終わり。今から東京戻ってスタッフで打ち上げだから。ちょうど舞台裏口から出てトイレ行ってきたらゆりちゃんが見えてさ。今日トイレのあとによく会うなぁと思って。」

高橋さんが笑いながら言う。

「高橋さん、トイレとセットにされるとちょっと嫌です。」

つられて笑いながら答える。

「ごめんね。すごい困った顔して歩いてたよ。ちゃんと笑って。ゆりちゃん、このあとどうするの?横浜で過ごすの?」

「まだ決めてません…大輔くんとも話してなくて。」

「その里見くんは?また電話?」

「いえ…ちょっと」

なかなか言うに言えなくていると、高橋さんが真面目な顔で覗き込んでくる。

「…片桐?」

高橋さんの言葉に反応してしまう。


「やっぱりね。ゆりちゃんわかりやすいなぁ。」

高橋さんが笑う。

「片桐さんお仕事中ですか?」

「いや、片桐ももう終わり。だからそっちに行ったんじゃないかな。里見くんと離れてて良かったの?」

「はい…なんとなく2人の方がいい気がして。」

「なんか訳ありっぽかったもんなぁ…でもゆりちゃんいいの?」

高橋さんが心配そうに聞いてくる。


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