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そんなこと言わないで
【同性愛♀ 官能小説】

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全一章-10

「くすぐったいよ」と舞衣ちゃんが言います。
「ダマレ」と私は応えます。
 それを私は、恋人同士の会話だと思うようになりました。

私は25才。若く見えるとは言われますが、舞衣ちゃんから見れば十分おばさんです。片想いの惨めな苛立ちから、<なんでこんな小娘に・・・なんでこんなワガママ娘に・・・>と、思ってもいない悪態をついてみても、それは、恋してしまった心の確認でしかありません。
 舞衣ちゃんにとっての私は、親切に介護してくれるおばさんくらいにしか思えないでしょう。ここまで全てをさらけ出してしまった以上、今更羞恥心を持つこともなく、私のなすがままに全てを委ねていればいいのだと。
 でも私の心は、日に日に従順で可愛いはにかみを見せ、日に日に肌が潤って、日に日に私の理想の女性に近付いていく舞衣ちゃんに、苦痛とも言える欲情を持ってしまうのでした。
 秘めたる恋の切なさは、日向の恋にいやまさる・・・そんな歌があったような気がする・・・いっそ、舞衣の股間に顔を埋めて、何もかも壊してしまおうか。あの、強烈な臭気が今は懐かしい。舞衣はもう、母親の手に返して大丈夫。今ならまだ、私は牧子の元へ引き返せるかも知れない・・・。でも、舞衣が忘れられるの? 汚物の中から助け出し、私が磨き上げた舞衣の美しさが・・・。くやしいけれど、私を狂わせる綺麗さをもった子供なのよ。あんたがいくら頑張ってみても、所詮子供は子供、大人の恋なんて分かるわけがない。こんな子に心を奪われるなんて、あんたらしくないよ、冷静になりなさい。ああ・・・でも好きよ舞衣・・・あなたのその、心を覗かせない瞳が好きよ。あなたの身体の隅々まで知っているのは私・だけ・なのよ・・・。
 私は煩悶の自問自答を繰り返し、片想いなのだと思うだけに、切なさが私の想いを余計に刺激するのでした。 
 運動が終わると再び全身の汗を拭いてあげ、自分自身の汗を、舞衣ちゃんの汗の付いたタオルで拭く・・・。私は濡れに濡れて、舞衣ちゃんが眠ると、真衣ちゃんの手を握り、舞衣ちゃんの寝顔を眺めながら、ベッド脇で毎晩のように自分を慰めてから眠るのが習慣になっておりました。

 ある日「ウンコがしたい」と舞衣ちゃんが言ったのです。
 排泄の感覚が蘇ってきたようでした。
 トイレに連れて行き、オムツを取って便座に座らせ、上半身を支えていると、
「一人でできそうよ・・・大丈夫だから出ていっててよ」と言いました。
「今更なによ。私の前でなら平気でしょ?」
 通常の排泄行為になってみると、俄に羞恥の感情が芽生えてきたのでしょうか。
 尾骨あたりを軽く叩いて腸の蠕動を促してやると、気持ちよく排泄できたようで、止めのオシッコが出て切れました。
 私は舞衣ちゃんの便を確かめて、
「まあ、名作だわ。製造工場の修復も済んだようね」と言うと、
「名作だって!」舞衣ちゃんは声を上げて大笑いしました。舞衣ちゃんの初めての笑い声。気持ちが晴れ晴れするトイレの中でした。
 ペーパーで処理してあげると、自分でシャワーのボタン押し、気持ちよさそうに大きく溜め息をつくと、
「笑っちゃった、笑っちゃった。名作だって。三奈子さんて面白い人ね。よし、明日はもっと力作を見せてあげる」と言ったので、また二人で笑いました。
 トイレの笑い声が漏れたのか、舞衣ちゃんをダッコした私と駈けてくる弥生さんがドアの前でばったり。
「なにかいいことがあったの? 大声で笑ったりして」
「ママ、三奈子さんがね、舞衣のウンコ見て名作なんて言うんだもの。それにね、舞衣の腸が製造工場なんだって。おかしくって」
「そしたら舞衣ちゃんが、明日はもっと力作よ、なんて」
「まあ・・・」
「弥生さん、もう舞衣ちゃんのオムツ、取れるわよ。嬉しいわね」
 久しぶりに聞く舞衣ちゃんの明るい笑い声に、弥生さんも余程うれしかったのか、目を赤くして笑いました。
 この日を境に舞衣ちゃんの口数も多くなっていき、私の悩ましい自問自答も軽くなっていったのです。


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