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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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序章-8

「久しぶり」

 エンの後ろからやってきたベルリアが、キャラの頭に手を置いて撫でる。

「お久しぶりです」

 くすぐったそうに微笑んだキャラは、ベルリアに挨拶するとスッと表情を引き締めた。

「ファンにようこそ、ゼビア国王。遠い所ありがとうございます」

 アビィを抱いているので膝を少し曲げるだけの簡単な礼をしたキャラに、近づいたゼビア国王は片手を取ると甲に口付ける。

「直々のお出迎え、感謝しますぞキアルリア姫。相変わらずお美しい」

 歯の浮くような社交辞令を口にしたゼビア国王は、アースに目を向けるとニヤリと笑った。

「先触れご苦労」

 アースは敬礼でそれに応えると、荷物を運ぶ騎士団員に指示を出し始める。

 馬車にはゼビア国王、キャラ、ベルリアが乗り、アースは御者の横に陣取った。
 エンとグロウはアビィで先に城へ知らせに行き、騎士団員は前後左右に別れて護衛する。


 ここで少しこの世界の事について説明しておこう。

 この世界は東西南北の大陸に別れており、それぞれの大陸は海に隔てられている。
 東の大陸は大国サイラによってひとつにまとまっている。
 西は小さい国が多数あるが、中でも一番大きい国が魔法大国ゼビア。
 南の大陸も小さい国がいくつもあり、ファンに一番近いカイザスが大陸の代表的地位にいる。
 北は気象情況が厳し過ぎて人が住める大陸ではなく、人外……いわゆる魔物達のパラダイス。
 その4つの大陸の中心にあるのが島国ファン。
 ファンは守護神を中心に国があり、各大陸の貿易を支える重要な土地。
 故に中立な立場にあり、この土地での国家間の争い事は禁止されている。

 閑話休題

 城に着くとアースが馬車の扉を開き、キャラを降ろす。
 続いてゼビア国王が降りてきて、最後にベルリアが降りた時、空から羽音が聞こえた。

「ベルリア!」

 それは、ファンの守護神オーウェンに乗った巫女長のミヤだった。

「ミヤ!!」

 白い翼の生えた黄金の獅子から飛び降りたミヤを、ベルリアは両手を広げて抱き止める。
 キツく抱き締めあっている2人を見たキャラはアースを見上げた。

「学長の座はリンに任せてファンに残るらしいぜ」

 キャラを見ずにそれだけ言ったアースは、人の姿に変化しながら降りてくるオーウェンに近づく。


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