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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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序章-10

「な?キャラだろ?」

 アースはしゃがんで潰れている騎士団員達に言う。

「……ですね……」

 長椅子を投げつける女など、どの大陸を探してもキャラぐらいだ……お姫様の幻想を打ち砕かれた騎士団員達はしくしくと涙を流すのであった……。


 夜はオーウェンが宣言した通り招待された各国の代表達が集まっての会食となった。

「この度は我が弟、ギルフォードの婚礼に参加して下さり感謝いたします」

 城の大広間に集まった招待客に向かってラインハルトが挨拶を始める。

「ご存知の方も居るかとは思いますが、私は同姓愛者でしてね」

 知っていた者達は渇いた笑いになり、知らなかった者達は顔を見合わせて驚いた。

「後継ぎが出来ないと悩んでいた所にこの弟が『自分はノーマルだから大丈夫だ』と言ってくれまして……よくできた弟で本当感謝しているんですよ」

 砕いた口調でしみじみ話すラインハルトに、一瞬静まり返った広間が笑いに包まれる。

「式は明後日です。今宵は無礼講!身分を忘れて楽しみましょう!!」

 ラインハルトがワイングラスを掲げると、わあっと全員がグラスを掲げて宴が始まった。
 立食パーティー式になっており、無礼講とはいえ王族、貴族は室内、護衛についてきている騎士団などは庭と自然に別れる。

「アース、巡るぞ」

「へーい」

 気軽に楽しみたい所だが、今日が社交界デビューとなるアースはゼビア国王に連れられてそれぞれのお偉いさんを巡る事になっていた。
 ファンの国王の所に来ると、ラインハルトがニコニコとアースに笑顔を向ける。

 ラインハルトの笑顔に嫌な予感がしたアースは、少し後ずさった。

「ラインハルト殿、昨日会われたかもしれぬがこちらは騎士団隊長、魔導師アース。この度ゼビアの次期国王代理に任命されたので改めてご挨拶を」

「ええドグザール殿、昨日アース殿にはイベントを盛り上げていただきましたし、良いパンチももらいましたよ」

 ゼビア国王の顔がビシッと固まり、アースの顔はひきつる。
 ラインハルトはニヤニヤとアースを見た。

「て……めぇっ!!ファン国王を殴るたぁどういう事だ!?早速ゼビアに泥ぬりやがったな!!」

 ゼビア国王は素に戻ってアースに掴みかかる。

「いや……あの……色々と事情がありまして……」

 アースはしどろもどろになりながら、落ち着くようにゼビア国王の腕を軽く叩き、ラインハルトを睨む。
 悪戯っぽく笑うラインハルトの表情はどこかキャラに似ていて、アースは仕方なく睨むのを止めた。


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