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忘れ得ぬ人(改稿)
【同性愛♀ 官能小説】

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側聞/早苗とその娘・茜は-4

「そう・・・その家が彩ちゃんの実家」
「ふーん。先生・・・実家と喧嘩でもして居辛くなったってこと?」
「バカおっしゃい」
「だってそうじゃない。すぐ隣りにご自分のお家があるのに、なぜ他人のお家になんか・・・」
「それが他人っていうわけじゃ・・・」
「ははあ・・・ママにはそれが話しづらいとこなのか。分かった。もう聞かない。聞いちゃうと彩乃先生が余計好きになるか、嫌いになるかになっちゃいそうな気がする。少し怖くなってきた」
「怖くなってきた?」
「そう・・・彩乃先生ってね、なんて言うか、茜たちの前ではすごく優しいのに、男先生と話しているときなんか、とっても怖いのよ。この間なんか、音楽教室に男先生が入ってきて、プリントを手渡しながら彩乃先生に何か仰ったのね。そしたら彩乃先生、だれが日教組なんかに入るもんですか、もうあたしを二度と誘わないで、人間を知らない、子供をダメにする教師の集まりなんか・・・って、渡されたプリント破いて投げ付けるの。激しいーっ。その剣幕に茜たちも首すくめちゃった。日教組って何? 校長先生だって、彩乃先生には一目置いているって感じかな。気が強いのね。議論してても男先生の方が大抵負けちゃうの。いや・・・男先生が彩乃先生の綺麗さに見とれて負けてやっているのかも知れないけどね。茜たちは彩乃先生のファンだから、男先生を言い負かすと胸がスッとするの。なのに・・・あんな先生の後ろ姿見てしまうと、抱きしめてあげたくなるくらい弱々しくて・・・」
「へええ・・・そうなの」
「そうなのって。ママ、先生のこと良く知ってるんでしょ?」
「茜から、学校での彩ちゃんのそんな話聞くの初めてだもの」
「ひとつ聞いていい?」
「・・・今話せることならね」
「そう言うかあ・・・あのね、ピアノの個人レッスンをお願いしてくれたとき、どうしてその新田家というか、先生のお部屋じゃなくて、学校で、って強調したの? 普通個人レッスンなら家に来て頂くとか自宅でしょ? 茜ね、そこにちょっとひかかっていたの。彩乃先生のお部屋じゃいけない理由があるってこと?」
「あのお部屋ではちょっと・・・まあ、こんな時間。いけない、いけない」


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