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忘れ得ぬ人(改稿)
【同性愛♀ 官能小説】

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側聞/早苗とその娘・茜は-11

「ただいま、ママ」
「レッスン、身が入らなかった?」
「うん全然・・・彩乃先生が眩しくて・・・昨日だって、茜がママに似てきたって言うし、ママと何があったのか邪推ばかりが頭に浮かんできて気もそぞろ・・・茜、心が見えないよ何かあったのって、逆に聞かれちゃった。茜の方が聞きたいのに・・・」
「まあ、ピアニストになれるわけじゃないから・・・女性としての成長の方が大切よ」
「そりゃあそうだけど、母上ちょっときついぜ、その言葉。でも音大へは行くからね。彩乃先生みたく、音楽の先生になりたいって思ってるんだから。自分の才能くらい分かってますよだ。茜の目標は彩乃先生なんだから」
「ごめんママが悪かった」
「分かればよろしい。だから、はっきり言いなさい」
「分かりました。これからお話しすることは、二人だけの秘密よ。彩ちゃんにもパパにも、ママから聞いたなんて絶対言わないでね。女の約束よ」
「ハハ・・男の約束ってのは良く聞くけど、女の約束って守られないっていう代名詞だよ」
「多分ね。女って、ふと口が滑るってこと、よくあるもんね」
「今からの話だってそうかもね。娘だからいいか、なんて言い訳してる?」
「そんな意地悪言うんだったら、話してあげない」
「すまん。私たち母娘は、二人だけの秘密は絶対守るって誓うわ。茜のためと思って話して」
「それなら話す。絶対ママを軽蔑しないでね」
「しつこいよ、ママ。余計期待しちゃうじゃないの」
「そんな話じゃないってば・・・昨日、奈津子先輩がなぜ亡くなったのか分からないって言ったけど、原因は分からないけど、奈津子先輩が亡くなってからの彩ちゃんの悲しみが、ママに大切な想い出を残してくれた。そういう夏の一日だったっていう話よ」
「始まり始まり」
「茶化さないでよ。ホント、彩ちゃんのためにも、茜にだけは話しておこうと思って決心したんだから」
「ゴメンナサイ・・・真剣に聞くわ」
「ママね、彩ちゃんのように目標がもてるような才能はないし、大学いこうか、自分になにができるのか、進路に迷っていたの。一時は演劇部の延長で、それでも真剣にどこか劇団にでも入ろうかなんて考えながら、就職もせずにバイトなんかをしながらぶらぶらしていた時よ。ひょんなことでパパと出逢って、恋をして、結婚しちゃったの。もっとも一方的に攻められてね。ママに魅力があり過ぎたから仕方ないんだけど、それはまあ別の話。茜が生まれて直ぐの頃、奈津子先輩も結婚して・・・」
「えええええ、彩乃先生って恋人がいるのに?」
「そうなの・・・その頃彩ちゃんは東京の音大生。奈津子先輩が東京の大学を卒業するのと入れ違いにね・・・結構長い遠距離恋愛だったわけね。その彩ちゃんが長野にいないときに結婚の話が持ち上がっちゃった。奈津子先輩、悩んでた。青くなって苦しんでたわ。例の演劇部の連中は知らなかったけど、ママにだけ、ああ、どうしよう・・・って言ったの。そういう自分事、一切言わない人だっただけに、余程悩んでいたのね。ママにだけでもそう言いたくなったのは、ママが結婚していたからだと思ってた。でも結局、どういういきさつがあったかは分からない。結婚しちゃったの・・・」
「彩乃先生は結婚式に帰ってきたの?」


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