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悪魔とオタクと冷静男
【コメディ その他小説】

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日常と冷静男と奇妙な仲間-3

 しかしまあ、よく言われるように天は二物を与えない。これはまぎれもなく事実。そして清楚なお嬢さまの中身の方はと言うと、
「大宅さんがいなくて寂しいんですよね? それぐらい分かっていますよ」
「……誰がいつどこでそんなことを言った。妄想で話すな」
「あら、お顔に書いてありますよ? 寂しくて寂しくて、女なら誰彼構わず襲って孕ませたいと。きやっ、幸一郎さんたらわたくしのこともそんな目で?」
「……ツッコミどころは多々あるが、とりあえず女が恥じらいもなく『孕ませる』とか言うな」
「それは嫌がるわたくしに幸一郎さんが無理矢理――」
「……今から目ぇ覚まさせてやるから、グーがいいかパーがいいか選べ。それとそこの年上ふたり。うわー、とか言ってんなっ」
「あらあら、冗談ですからそう怒らないでください。可愛いお顔が台無しですよ?」
 男子の夢を一発で打ち砕く電波女、それがこいつの正体だ。
 ……疲れる。
「時に幸一郎さん、ひとつお願いが――」
「却下」
「……わたくし、まだ何も言ってませんけれど」
「うるさい黙れ。どうせロクなことじゃないだろ。黙ってたほうが世界のためだ」
「聞いてくれませんと脱がせますよ?」
「は?」
「服。無理矢理に剥いて裸にします。いいんですか?」
「……どんな脅迫だよそれは」
 大きくため息。頭のネジ、何本か抜けてないか?
「よし桜子くん、私も及ばすながら手伝わせてもらうよ!」
「ふむ、だったら俺も手伝うかな」
 お前らもか!?
「大丈夫ですよ? ただほんのちょっと女子の制服を着た幸一郎さんを観賞して、撮影して、もてあそんだ後に脅迫したいだけですから。ね?」
「おい、前半もだが、特に後半おかしくないかっ!?」
「いえ。ちゃんと目的として成立していますからご安心を。――さあ、いかがですか?」
 ジリジリと詰めよってくる遠矢。さらにバカ年上コンビも。
 思わず鞄を持って後ずさるが、そのまますぐに扉の前まで追い詰められた。
「何も怖くなんかないですよー。さあ――、さあ!」
 伸ばされた手をなんとか避け、そのまま廊下に飛び出す。
「逃がすものか! 五十嵐、部長命令だっ。ゴーアヘッド!」
 長谷部の声と、すかさず着いてくる足音。しかも早い。
 勘弁してくれ!


 ケース4/帰宅部メンバー(拓巳、凛)

 もうどれくらい走ったか。五十嵐をまくために走り回り、もうそろそろ体力の限界だ。
 だからだろうか、廊下の曲がり角で向こうから出てきたふたつの人影に気付かず、その内の片方に思いっきり体当たりをかましてしまった。しかも、胸板の辺りにタックルを入れてしまったような感触有り。
「ふがっ!?」
「拓巳くん!?」
 奇妙な声を上げて吹っ飛ぶ人影の片割れ。
 だけどそれはこちらも同じこと。廊下に思いっきり尻もちをついてしまった。
「っつ……」
 そうして僕が相手の方を見るのと同時、向こうも体を起こしてこちらを見て、
「ああっ!? ききき、君はっ!」
 大げさに驚く平凡な顔をした男子生徒。
「……誰だ?」
「って早くも忘れてるぅ!?」
 いちいちオーバーだが、どうにも相手は僕のことをを知っているらしい。
「あんだけ人のことを追い掛け回しといて忘れるなんて! 何さまだよっ」
「追い掛け回す?」
 ……まったく記憶にないのだが。
「た、拓巳くん、大丈夫?」
 と、ためらいがちに男子に声を掛けた女子を見て、
「――あ。このあいだの二年」
「うん、やっと思い出したねと言うか、何で僕は完全完璧に忘れてて凛ちゃんはすぐに思い出せるかなぁ!?」
「お、落ち着こうよ拓巳くん」
「だってこれって明らかな差別だよねぇ? ねぇ!?」
「……知るか。お前の影が薄いのが悪いんだろ」
「なっ――!」
 勝手にショックを受けている拓巳とかいう男子は無視して、立ち上がって制服についたほこりを払う。
「……ともあれ悪かったな。少し野暮用で急いでたんだ」
「え、あ、う、うん」
 なぜ驚く。
 気になったが、頭の配線がずれているのだろうと納得する。
「まあ、影が薄いお前にも非はあるな」
「……なんでそうなるかなぁ」
「あ、け、ケンカはダメですよ?」
 あわてたように間に入ってくる女子。
「……別にケンカなんてしない」
「あーっ! ほら、僕と凛ちゃんだとこんなに態度違うじゃん! 最低だ! 差別だ! 実は痴か――あ」
「あ」
「……」プツン。




 空白。


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