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「超合体浪花ロボ・ツウテンカイザー」
【コメディ その他小説】

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「超合体浪速ロボ・ツウテンカイザーV〜新世界征服ロボの挑戦〜」-5

「同じ手が通用するかっ!今度はこっちの番やで、それ、通天剣ッッ!!!」
「何のっ!絶対服従剣ッッ!!」
 ツウテンカイザーの胸の虎が咆哮を上げ、炎の剣が吐き出される。しかし、グランパスドラゴンも同じように胸にあるシャチの口から氷の結晶を吐き出すと、それが砕けて中から剣が現れた。
 耳をつんざく金属音が鳴り響き、超重質量の剣が激しくぶつかり合う。続けざまに二合、三合、互いに剣を躱し、相手の刃を逸らし、何とか敵の喉元に切っ先を突きつけようとするがままならず、やがて鍔を競り合って力比べにはいる二体の巨大ロボ。
「むむむ、この真似ッ子ロボットが……」
 力を込めているのはツウテンカイザーなのだが、コクピットにいるひよこ達もどういう訳が力がこもる。
「ふん、グランパスドラゴンもツウテンカイザーも同じ設計思想で造られている。似ているのは当たり前だっ!」
 ユーナはそう言うと、均衡を破るべくツウテンカイザーを押し返した。
『ヌオッ!?』
 バランスを崩して後ろへとよろめくツウテンカイザー。
「喰らえッ!独裁ミサイルシャワーッ!!」
 ユーナの掛け声と共にミサイルが雨霰と降り注ぎ、ツウテンカイザーのコクピットを激しい衝撃が襲う。身を縮めて攻撃に耐えるツウテンカイザー。しかし、猛煙が消えると、当のツウテンカイザーには傷一つ付いていない。
「むう、流石、中性子合金の装甲は簡単には破壊できないか…。しかし、中の人間は無事ではすむまい…」
 ユーナはコクピットのひよこ達が恐らく昏倒しているか、少なくとも衝撃を受けて動けないであろうと考えた。そして、とどめを刺そうと剣を大上段へと構えたその時…。
『ドォオリャアアアッ!!』
 ツウテンカイザーが咆哮を上げ、グランパスドラゴンに痛烈な体当たりを仕掛けてきた。
「ば、莫迦な…」
 剣の切っ先を押し倒したグランパスドラゴンの喉元に向けるツウテンカイザー。陽光が剣に反射してユーナは固唾を飲んだ。
「いったいなぁ…、何すんねんっ!!」
 痛打したこめかみを押さえ、ひよこが呻き声を上げる。
「さあ、形勢逆転やな。構造がツウテンカイザーと同じなんやったら、ここの動力ケーブルを切断したらどうなるか分かるやろ?」
「むぅ…、こんな正義かぶれの低級ロボットにやられるとは…。流石、莫迦は神経が鈍くできているという訳か…。外見は人間に見えても恐らく中身は恐竜から進化していないのだろうな…」
 無念の声を上げるユーナ。
「むぁああっ!負けても口の減らんお姉ちゃんやなっ!!さっさと往生しいやっ!!」
 ひよこの怒声と共にツウテンカイザーが切っ先を刺し下ろそうとしたその時、突然の衝撃がツウテンカイザーを襲った。背中を突き飛ばされ、無様に転ぶツウテンカイザー。

 ツウテンカイザーを突き飛ばしたのは、突如現れた巨大なサンショウウオであった。勿論それは火星人の送り込んできた火星獣だが、あまりのタイミングの悪さにひよこや恭子だけでなく、その映像を見ていた司令室の人間全員が驚きの声を上げた。
「なんて間の悪いところに…」
 呟くスチュワルダ。
「あれはサンショウウオなのか…?粘液質の体表に機械の部品が埋め込まれて、…これまでのどの火星獣より気味が悪いな…」
 映像を見て顔をしかめる王鷹。
『うっわ〜〜っ!?なんや、この気色の悪い火星獣はっ!??』
『うわ〜ん、何よこのヌルヌルした火星獣はっ!?』
 通信機の向こうでひよこと恭子が悲鳴を上げる。
「むう、ザンジオー…はあかんな。ザンザン…は何の火星獣か分からへんし。長い名前はアレンジに困るなぁ…」
 しかし、緊迫した状況で呑気に火星獣の名前を考え込む十文字博士。
『阿呆〜〜っ!火星獣の名前考えてる場合かあぁっ!!』
 ひよこがディスプレイの向こうで父親をなじるが、十文字博士は動じない。
「よし、これ以降はあの両生類型火星獣をザンジオラと呼称する」
 自分の付けた名前に満足げに頷く博士。しかし、そんなことを言っている場合にも、ディスプレイの向こうでは娘の乗ったロボットが火星獣と悪のロボット両方から攻撃を受け始めていた。
『名前なんかどうでもええわぁ〜っ!!この状況をどないにかしてぇなあっ!?』
『は、博士ぇっ!火星獣とロボットとじゃあ、対応できません〜っ!!』
 後ろからはザンジオラに攻撃を受け、前方からはグランパスドラゴンに殴られるツウテンカイザー。たまらずツウテンカイザーはうずくまるが、端から見ていると怪獣とロボット同士の戦いというよりは苛められている子供のようにも見える。


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