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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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再会のバトル-9

「……覚悟はしてたけど……」

 やっぱり痛いなあ……とラインハルトは頬を押さえながら体を起こす。

「まあ、あんな事でもなきゃキアルリアはゼビアに来る事もなかったわけですし?俺としちゃ感謝してるとこもありますがね」

 アースはラインハルトだけに聞こえるように言って手を貸した。

「なら殴らなくてもいいじゃないか」

 同じくアースだけに聞こえるように言い返したラインハルトに、アースは顎でキャラを示した。
 キャラは清々しい表情で2人を見ている。

「あいつの為だ」

 国王であるラインハルトに対してそこまで強い態度に出られないであろうキャラの代わりに殴った、と言うアースにラインハルトは苦笑した。
 いくら惚れた女の為とは言え、下手すれば自分の首が飛ぶであろう行為を躊躇いもなくやってのけるこの男になら……大事な妹を託せるだろう。

「私からも感謝を言わねばならないな。キアルリアを頼む」

「仰せのままに」

 貸した手を一度離したアースは、その手でラインハルトと握手を交わした。

「キアルリア。アース殿に城を案内して差し上げなさい」

 ラインハルトはキャラに顔を向けてウインクする。

「えっ……ですが、ステラ義姉さんの護衛が……」

 花嫁の正体がわかったので、暗殺されやすいステラを放っておく事は出来ない……というか放っておいたのだが……。

「グロウが居る……おや?居ないな……」

「あぁ、置いてきました。直に戻ると思いますが……」

 アースは頭を掻いて居心地が悪そうに伝えた。

「でしたら、グロウが戻るまで皆でお茶にしましょう。ゼビアのお話を聞かせていただけますか?」

 驚いていたステラだったが、男同士の友情なのだろうと勝手に解釈してにこやかに提案する。
 それに納得した一同は、ギルフォードの自室に移動してお茶を楽しむ事にした。
 ちなみに、爺さんは辞退した。
 元召し使いのステラがお茶を煎れようとしたが、この中で一番身分が低いであろうアースがステラの手から道具を取り上げる。

「ステラ姫には私の煎れたお茶を飲んでいただきたい。キアルリア姫のお墨付きですよ?」

 とびっきりの笑顔を見せるアースに、ステラは顔を赤くしてもじもじとした。

(ギルフォード兄様には嫌がらせできたか……)

 ラインハルトには明確な殴る理由があったが、ギルフォードに対してはただのやきもちなので、女たらしの技を駆使して同じくやきもちを妬いてもらおうという魂胆らしい。

(陰険……陰険すぎる……)

 キャラは大きくため息をついて、憮然とした表情のギルフォードに同情した。
 アースの煎れたお茶は、自分で言うだけあってとても美味しかった。


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