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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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別離の間〜Side:F〜-4

『チッ……わぁったよ!』

 グロウはこれ見よがしに舌打ちすると、オーウェンに視線を移す。
 オーウェンは黙って手を離し、グロウは首をコキコキ鳴らしながらキャラの横に移動してラインハルトを睨み付けた。
 とりあえず大人しくなったが喉を鳴らして威嚇はやめない。
 そんな、らしい行動をとるグロウに苦笑したキャラは、そっと首を撫でながらゼビアでの事を話した。


 山火事、魔導師アースとの出会い、分離の大魔法、精霊、人身販売組織スネーク、魔獣ハーフ……話しながらゼビアでの半年がどれだけ濃いものだったのかと改めて自覚する。
 ゼビアで過ごした怒涛の半年間の話を聞いた双子の兄は驚きを隠せない。

「まあ……そんな感じでした」

 ある程度は話をはしょったが……。

「……色々と……あったんだな……」

 ラインハルトは悲痛な表情でキャラを見つめる。
 多分、スネークでの事を言っているのだろう。

「ええ、お陰様で大した精神的ダメージを受けずに済みました」

 あんたがした事に比べれば全然平気、とキャラは嫌味を言う。

「うわぁ……キツイなぁ……キアルリアは……」

 まったくもってその通りなのだが、これでもキャラが出て行ってからの2年間、反省と後悔の日々だったのだ。
 とどめを刺された気分になり、ラインハルトは頭を抱えて落ち込んだ。

「ゼビア騎士団隊長で魔導師ねぇ……キアルリアをやるには後1歩足りない感じだな」

 ラインハルトを無視した冷静なギルフォードの言葉にグロウが今にも飛びかかりそうな姿勢をとる。

「グロウやめろって……とにかく、これからはちゃんとこちらでの埋め合わせをします。そこでラインハルト兄様にお願いがあるのですが……」

 キャラが視線をラインハルトに向けると、ラインハルトは背筋を伸ばした。

「何でも言ってくれ。私はお前に償わなければならない」

 取り返しのつく事ではないが……事件後、まともに顔も合わせてくれなかったラインハルト……今は真っ直ぐにキャラを見る事が出来る。
 キャラはにっこりと笑うと、とんでもない事を口にした。

「では、ファン国民にゲイである事をカミングアウトして下さい」

「「はあ?」」

 双子の兄が声を揃えて間抜け顔をし、さすがのオーウェンも驚く。

「兄上の問題は跡継ぎ問題にも繋がります。これは、国民にとっても大問題です。ハッキリと国民に伝えたうえで国民と共に問題を解決して下さい。それが出来ましたら私にした事はキレイさっぱり忘れます」

 キャラの言葉に3人は黙って考え込んだ。
 確かに、王族として生まれたからには性癖ひとつとっても個人的な悩みだけではすまされない。


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