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上級悪魔と低級契約者
【コメディ その他小説】

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上級悪魔と低級契約者-2

それから、三十分後。
楓とアンは、神社の前にいた。
「そのエクソシストがお前のことを狙っているって決まったわけじゃないんだろ?」
「3日前から一定の距離を置いて私をつけていたんだ。狙っていると見て間違いないだろう」
神社に来たのは、人目に付かないところに行けばエクソシストが襲ってくるのではないかと思っての事だったのだが…
「なにもしてこないじゃないか」
「否、徐々に近づいて…来た!」
楓達の前に黒ずくめのマントを被ったいかにもな人が走って近づいてくる。
「はぁ…はぁ…。わた…しは、…エクソ…シス…ト。お…まえ…た…ちあく…ま…を、ゲホ、ゲホ」
むせた…
「こいつがエクソシストなのか?」
「間違いない。力もかなりのものだ」
目の前で死にかけてるエクソシスト…
『胡散臭い』
「はぁ、はぁ。やっと落ち着いた」
「で?私をどうすると?」
「地獄に追い返す!」
エクソシストはそう言うと札を投げつける。
「甘い!」
アンは、そう言うと札を火で焼き尽くす。
「まだまだ!」
エクソシストが十字架を投げる。
「はっ!」
十字架はアンにたどり着く前に溶けて消える。

「…お前等、飽きないのか?」
あれから、数十分争い続けている二人に楓は呆れ半分に話し掛ける。
「まだ…まだ」
「飽きた」
疲れ切ってもやる気まんまんのエクソシストとやる気すらないアン。
「死ねぇ!」
エクソシストが最後の力を振り絞って巨大な火の玉を創り出した。
「これは…流石にまずいな。楓、力を貸せ」
「はいはい」
楓は、それだけ言うと妙な呪文を唱え始めた。
「破!」
エクソシストが火の玉を落とす。
あたり一面が火に包まれる。
「流石にやりすぎたかな」
エクソシストは、しばらくはおさまりそうにない火炎を見ながら呟く。
「これじゃ、骨も残らないかな」
「否、全然余裕」
火が中心から消えていく。
「な…なんで!」
「普通、悪魔っていうのは契約者を通してしか魔法を発動できないんだ」
楓は、そう呟くと力をエクソシストに向けて放つ。
「ぐわっ」
「あれ?やりすぎたかな」
気絶したエクソシストを見てそう呟く楓。
「どうしよっか?」
「さぁ」
立ち尽くす二人と、倒れている一人。

「はっ!ここは…?」
見たことの無い部屋。ふかふかのベット。
「やっと目を覚ましたか」
「お前は!」
悪魔の契約者。私を気絶させた張本人。
「いや〜!エクソシストがこんな可愛い女の子だとは思わなかったよ」
「可愛いあなたに言われると皮肉にしか聞こえないわね」
私は、相手を見て言う。
「俺は、男だ!」
相手がずいぶんと怒りながら言う。
「とにかく、俺は楓。あんたは?」
「なんであなたなんかに名前を教えなくちゃいけないのよ」
「名前分からないと不便でしょ」
「…私は」
あれ?私は…
「誰?」
「は?俺に聞かれても」
「私は誰だっけ?あれ〜」
「え?なに?もしかして記憶喪失」
「そう、みたい。どうしよう」
「とりあえず、しばらくは家に居るといい」
「あれ!アン、いつの間に。しかも何変なこと…」
私は、楓の言葉を遮る。
「そうさせてもらいます」
「はぁ〜!?」
こうして、高槻家の居候が一人増えることとなったのだった。


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