其の九-1
乳ぶさをあやす千鶴に調子を合わせて核を優しくなぶる。たっぷりつばきをまといつかせた指先で、苞を剥いては戻し、ときおり直に肉真珠に触れてやる。そのたびにピクリと秘肉が反応して、おのれの分身をつかみ締めてくるのがたまらない。
「そこは……だめ……」
「だめなもんか。お露がだんだんにじんできたし、中もほかほかしてきたよ」
「いやあッ、言わないで。だめ、だめです」
いやいやと首を振り必死に否定する美由紀。だが、その頑強な否定こそが八十平の言葉が真実であることを示している。
がんじがらめに縛り上げられ、むりやり男をねじ込まれたのだ。こんな状況で悦びを感じてしまったら二度と顔向けが出来なくなる。
誰に? あの東京から来た少年にだ。
もう二度と会えないかもしれないけれど、それでも自分の心の中に棲む少年に顔向けできなくなると思った。それは絶対にいやだった。
「そろそろいいかな」
八十平が言った。
二人がかりの愛撫に、固かった処女の肉もすっかりとまではいかないものの、だいぶとろけ出していた。充分スムーズに動ける程度にはなじんできている。
「いや、動かないで。こわいッ」
「ほんとに可愛いなあ」
言うなり、動いた。
「だ、だめ……ヒイッ」
いつしかうるみだしたとはいえ、そこには立った今傷つけられた傷口でもあるのだ。そこをこすり上げられるのだからたまらない。ふたたび体の芯から疼痛が全身を満たし始める。
一方、千鶴もただそれを傍観してなどいなかった。片手で乳首を転がし、もう一方の手を降ろして押しひしがれて苞から飛び出してしまった核をくりくりと弄る。それをみて八十平も、もう一方の乳ぶさに顔を伏せ、尖りきった乳首を唇に加えた。
再び苦痛と快楽が交錯する。ともに初めて知る強過ぎる感覚が、うねりからんで体を満たす。
「はッ、はッ、はッ」
突き上げと共に、短く息をもらす。
八十平のストロークが大きくなった。ついに彼自身も辛抱がたまらなくなったのだ。今や八十平は手練手管をわきまえた中年男ではなく、はやりたつ若者のような気分になっていた。量感と弾力を兼ね備えた若い肉を、ただ欲望のままに蹂躙しようとしていた。先端が稚い子宮をおびやかすほど深く突きあげる。ずたずたに引き裂いた処女膜をさらにこすりあげ、すりつぶし、にじみだした蜜をこれでもかと攪拌する。
豪奢な衣装と共にくくりあげられた肉が躍らされる。痛みと快楽の渦潮に捻り上げられる。
そしてついに穢れを知らなかった子宮が、男の熱い粘液にまみれる時が来た。
「うおっ」
一声吠えた八十平が思いっきり腰を押しつける。そうやって先端で子宮を押し上げるようにしながら一気に放った。
「ヒイーッ」
体内を貫くものがビクビクと跳ねたのを感じた美由紀は、魂切るような悲鳴をあげた。優雅な弧を描く眉はきつく寄せられ、黒々とした瞳は涙に濡れて見開かれ、つつましやかな朱唇は大きく開けられて悲鳴を吐く。まじめな優等生であった少女が、文字通り腹の底から汚されたその哀切の表情を見ながら、八十平はなおもしたたかに放った。
(さようなら……)
たぶんもうここを出ることはない。自分はこうして死ぬまで汚されつづけるんだと思った。もう彼に逢うこともないだろう。そして、もはや心のうちに彼を思いだす資格すら失ったと思った。自らの心のうちに棲む少年に対する訣別の言葉と共に、美由紀の意識は深い深い闇の底へと堕ちていった。