其の六-1
「ヒッ」
ビクンッと腰が痙り、全身が反る。シャワーのしぶきが直接当たっただけでもビクリとなる所だ。そんなおそろしいまでに感じ易い部分に直接触れられたのである。
「やめ……」
その部分の感覚を全く知らない美由紀がおびえるのも無理はない。だが、やめてと告げることすら許されなかった。
「ひあッ」
今度は反りあがったことで突き出された乳ぶさの先端を千鶴の細い指がつまんだのだ。そのまま白い指の間でこりこりと弄ばれる。そのたびにぴりぴりとした電気のような感覚が胸の奥へと走ってゆく。
二人がかりの巧みな愛撫に翻弄され、美由紀はもう言葉を吐くことすらかなわない。かぼそい泣き声をもらしながら脾腹をあえがせ、いましめられた体をくなくなとゆさぶるばかりだ。
「気持ちいいのね、美由紀ちゃん。とっても可愛いわよ」
囁きかけながら、そのまま耳たぶを軽く噛む。噛まれた痛みは最早痛みではなく、かすかな快感として感じられる。
「ここ、気持ちいいんだろう?」
今度は八十平がチュウと吸い上げる。
「ヒイーッ……う、うんッ……」
悲鳴とともに腰をグンと突き上げ、生々しい呻きを噴きこぼす。
(こいつはすごい)
過敏なまでの反応に舌を巻きながら、さらに中身を搾り出すようにして固い苞を剥き上げた。
「あ、なにをしてるの、いや」
下半身に異様な感覚を覚えた美由紀がおびえた声を出す。莢に隠れていてさえ感じすぎる部分がついに直接外気にさらされたのだ。かすかに紅を透かせた小さな肉真珠が姿を現す。うっすらと恥垢にまみれてツンとチーズのような匂いをさせている。だが、それすらも八十平にとっては処女の証しとして興奮を高める材料でしかなかった。貴重な珍味を味わうように、そっと唇で押しつつみ、舌で舐めまわした。
「あ……いや……ああッ……」
感覚の中心を産まれてはじめて直に刺激され、美由紀はその異様な感覚にどうしようもなく舌足らずの声を放ち、足袋の爪先をキュウと捩る。
八十平は跳ね躍る腰を押さえつけながら、ヒクヒクおののくものを心ゆくまでしゃぶり、口いっぱいに拡がったチーズの匂いを呑み込んだ。それはまさに乙女のみが持つ天上の珍味であった。酸っぱいような刺激的なその味が、すっかりなくなるまで夢中で舐め取った。顔を離してみると、小さな尖りにまとわりついていた白っぽいものはすっかりなくなっていた。その芯には先ほどよりも濃く血の色を透かせて真珠のようにつやつやと耀き、フルフルとおののいている。さきほどよりもひとまわり大きくなって反りかえっていた。
「まあ、可愛いらしいおさね。それにとっても綺麗」
肩ごしに覗き込んだ千鶴が感嘆の声をあげる。
「おまけにひどく敏感でして」
言って八十平は息をふうっと吹きかける。
「ひんッ」
たったそれだけでもビクリと体を震わせてしまう。
だが、あがる悲鳴は弱々しく、腰の動きもおびえると言うよりは、むしろむずかるような動きを見せていた。
「いいのよ、感じて。我慢してはだめ。女は可愛がられれば気持ちよくなるものなのよ」
そういいながらねっとりと乳ぶさを揉みほぐす。やさしくこねまわされる白いふくらみには、もうぷつぷつと粒だった鳥肌はない。ただしっとりと汗に濡れ、千鶴の繊手にまとわりついてゆく。
それを見て、八十平もふたたび顔を伏せ、今度こそ美由紀を追いつめるべく、とろとろと蜜をあふれさせ始めた部分へと唇を寄せていった。
美由紀は真っ白な光りにすっぽりくるまれ、目がくらんだようになっている。どこになにをされているかすら判断がつかない。
ひっくり返され、かきくつろげられ、羞恥の極みをさらした姿にいましめられ、羞じらいに気死したようになった心に、強烈な未体験の刺激がねじ込まれた。乳ぶさから、股間から、次々と送り込まれるえもいえぬ感覚に翻弄され、我を失った。意識がうわずり、思考がとりとめなくなってしまう。体は本人の意志を離れて、体の中心を貫く電気のような刺激に自動的に反応を返してしまう。
(ど、どうなっちゃうの?)
自慰すら知らぬ身に、二人がかりの愛撫はあまりに刺激が強すぎた。ボウ、と霞みがかかったようになってゆく意識を、頭をゆさぶり続けてつなぎとめるのが精一杯だ。
(だめ、だめよ……感じちゃだめ……)
自らを叱咤するものの、唇を漏れる声も悲鳴ではなく羞ずかしい歔き声になってしまう。鼻にかかるその声が羞ずかしくて、唇をかみ締めてこらえようとするけれど、千鶴の、そして八十平の愛撫のなんと優しいことか。つい乗せあげられて気持ちが上ずり、歔きたくなってしまう。
「はあ、はあ……」
大きく喘ぐそのたびに、胸が波立ち、内側からせくりあがってくる何かによってパンパンに張り詰めてゆく。ただでさえ羞ずかしいほどに大きい乳ぶさがさらに膨れあがるような感じがする。そこをやわやわと揉みほぐされると、うっとりとなってしまう。そこでツンととがってしまった頂きをつままれると、全身をビクリと引き痙らせてしまう。
「どう、美由紀ちゃん、気持ちいいでしょう。乳首もおさねもピンピンになってるわよ」
(羞ずかしいこと、言わないで……)
そう思っても、言葉にならない。ついに、うッ、うッ、と声を殺して歔きだした。
「そうそう、気持ちがいいときは、そうやって可愛く歔いていればいいの。そうすればもっと気持ちよくしてもらえるのよ」
思いは八十平も同じである。
羞じらいに体をもじつかせながらも、こらえきれずに洩らされる薄紙を顫わすような歔き声に、さらに血を滾らせた八十平は、肉のとがりを吸い上げ、襞を丹念にまさぐった。
舌をうごめかせるたびに、奥からトロトロと熱いものが絞り出されてくる。無垢な体がはじめて洩らす蜜は、サラリとした感じで百合の花のような香りがした。わずかな酸味を覚えるその蜜を八十平はチュウチュウと音を立てながら夢中になって啜った。