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金沢にて
【二次創作 官能小説】

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其の弐-1

「さて、それじゃあそろそろ本格的にお嬢ちゃんを頂くとするかな」
 怯えさせるようにわざわざ声をかけてから、八十平は膝に乗せあげた美由紀の肢体を、ぐっ、と力をこめて抱きしめる。
「ひいっ」
 好きでもない中年男の腕の中に抱きすくめられた美由紀は、もう生きた心地もしなかった。腰の下に熱く高まった男を感じさせられるのが、男を知らぬ清らかな身をさらにすくませる。
 八十平がそのまま襟足へと顔を寄せる。
「いかが? 八十平さん」
 いつのまにか寄ってきた千鶴が声をかける。
「へへ、生娘の匂いがしますな」
 陰湿な座敷牢に満ちた奇妙な香の香りに混じって、甘酸っぱさをふくんだ健康的な汗の香が立ち昇っていた。
「よかったわね、お嬢さん、いい匂いだそうよ」
「いやあッ」
 体臭を嗅かがれ、耳元でそれを評された恥辱に美由紀が呻く。たとえどんなに誉められようと、自分の匂いについてあからさまに語られるなど、恥辱以外のなにものでもない。この妖しげな美女は、同じ女としてその恥辱を十分わかっていながら自分の屈辱を煽り立てる言葉を口にしているのだと、美由紀は直感的にさとっていた。
(いじわるな人……)
 そう思いはするものの、奇妙な無邪気さを漂わせるこの女性は、不思議と憎しみの心を湧かせない。
「お嬢さん、お名前は?」
 小首をかしげて、黒く耀く瞳で見つめながらたずねてくる。
「美由紀、保坂美由紀というそうです」
 口をつぐんだままの美由紀に代わって八十平が答えた。
「そう、美由紀ちゃん。とってもお似合いの名前ね」
 そう言って小さく笑みを浮かべる、その様がひどく艶っぽい。
「さて、そろそろ隠しているものを見せてもらおうかな」
 八十平の手が縄に締めあげられた友禅の打ち合わせへとかかる。
「いや、いやッ」
 必死で叫び、身をよじるが、あっというまに両の襟に手がかけられる。
「ああっ」
 グイ、とばかりにかきひろげられた。
「まあ」
 千鶴が感嘆の声をあげる。
「ほう」
 八十平もまた同様だ。
 職人が丹精こめて描いた友禅地の合間からまろびでた乳ぶさは、予想を超えた量感にみなぎっていた。白いレースのお洒落なブラジャーの中に、若さをたたえた肉がみっしりと詰まっている。かけまわされた縄と、絹地の襟足の締めつけとに根を締め上げられて、本来の量感を増してしまっているのだ。さらに鎖骨を浮かせた首すじや、くつろげられた襟足が引っかかったままの肩口が、薄く華奢なつくりなだけに、なおさらそれがきわだって見える。
「これはまたずいぶんと立派なおっぱいだ」
「やめてえッ。は、恥ずかしい……」
 人によっては誇りになるであろう立派な乳ぶさは、生真面目な美由紀にとっては恥辱の源でしかなかった。みっともないとまでは思わなかったが、大きすぎる乳ぶさは自分の肉体の中でも最も恥ずかしい部分として美由紀自身の内で意識されてきたのだ。
「ふふ、真面目そうに見えるけど、体はとってもいやらしいのね」
「……」
 ずばりとコンプレックスを指摘され、美由紀は真っ赤になって黙りこむ。
「あ、ああッ……やめてッ……かんにんしてッ……」
 だが、黙りこんでいる余裕はなかった。すぐさま八十平の手が、ブラジャーの上からその感触を確かめ始めていた。
「いかが? 八十平さん」
「いやあ、見事なもんですなあ。ほら、手にあまるとはこのことです」
 言いながら両の乳ぶさをわしづかみにして見せる。なるほど柔らかい肉のかたまりが広げられた指の間からこぼれている。
「くうッ……」
 美由紀はあまりの屈辱に、唇をかみ締めるばかりだ。
「これはさっそく直に調べて見ませんと……」
 そう言いつつポケットの中から小さなナイフを取り出す。パチンと刃を立ると、いったん美由紀の目にそれを示す。
「動くなよ。肌を傷つけちまうからな」
 そして、おもむろに、くっきりと谷間を描く、胸の谷間に刃をくぐらせる。小さくとも鋭い刃先が、二つのブラカップのつながりを、アッサリと切り離す。とたんに内側の圧力によって、はじけるように左右に分かれる。
「いやあッ」
 叫ぶ美由紀。だが、恥ずかしがって身をゆするたびに大きな乳ぶさをふるふると揺らしてしまい、好色な男女の目を楽しませてしまう結果を招く。
 それは、二人をともに魅入らせるだけの乳ぶさだった。
 磁器のような肌の白さといい、繻子のような肌目の細やかさといい、そしてポッチリ桜色の乳首といい、まさに処女の初々しさを体現した乳ぶさであった。しかも、それが男の手にあまらんばかりに若さをパンパンに詰めたその量感を漲らせいるのだ。さしもの二人ががしばし責めの手を休んで見惚れてしまうのも無理はなかった。
 だが、いつまでもそれだけですむはずなどない。すぐにごつい両手が柔らかい肉をつかみしめ、思う様ねぶり始める。
 それは子供が粘土遊びをするようなものだった。手にあまるほどの柔肉を、気の向くままにひねり、変形させる。それが血の通った人の肉であることなど、全く意に介さないと言うような扱いだった。八十平はただ夢中になってその柔らかい肉の感触を楽しんだ。
 見る以上に、触ってこねまわす感触が素晴らしい乳ぶさであった。ただ手の中で弄ぶことそのものがひどく心地よいのだ。
「ふふ。もう夢中ね、八十平さん」
「や、これは……お恥ずかしい。つい夢中になりました。心底柔らかいのに、張りがあって手応えもある。こうしているだけでも至福ですな」
 そう言いながらも両手は休むことなく乳ぶさの感触を味わっている。すっかりご満悦の八十平とは対照的に、美由紀は眼鏡のかげの大きな瞳からはらはらと涙をこぼしていた。


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