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悪魔とオタクと冷静男
【コメディ その他小説】

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悪魔とオタクと冷静男-4

「とにかく、五人いれば参加資格が与えられるのだ!去年は部費の少なかったこと…」
「じゃあ頑張らないといけませんね!」
 つばさが目を輝かせながら、やけに楽しそうに言う。いや、実際に楽しんでいるのだろうが…
「その通りだ!さあ、頑張ろうではないか。我々の輝かしい明日のために!」
 今まで座っていた椅子のうえに立ち、机に片足を乗せて熱く語る長谷部。それに合わせて短いスカートの裾が危うい動きをする。
 そのとき、急に頭を両手で挟まれ、強引に90度曲げられる。桜子の仕業だ。
「栗花落さん!部長などのを見なくても、わたくしが見せてあげますわ!」
「…何のことだ?」
「さっき部長の下着を見ようとしていたじゃないですか」
「なに、本当か栗花落くん?」
「うわぁー、いっちーのスケベ!」
「まぁ、君のおかげで参加できるわけだからお礼に少しなら見てもいいぞ?」
「ですから見たいならわたくしが…!」
 好きかってに騒ぐ女子達。はっきり言ってウザイ。
「…興味無い。静かにしてくれ」
 なぜか驚く女子達。なにも変な事は言ってないはずだが。
「…まさか、栗花落くんは…男じゃないとダメなのか?」
「それとも幼女の方がよろしいとか?」
「……」
「いやいや、案外熟女好きかも…可愛い顔をして…」
「本当は、枯れてらっしゃるとか?」
 再び騒ぎだす二人。もはや突っ込むのも面倒になってきた。
「ねぇ、いっちーも先輩達に相手にされたいんでしょ?」
 目の前の謎の討論に呆れていると、つばさが声をかけてきた。
「…別に」
「うっそだ〜。さっさと白状して楽になっちゃいなよ」
「白状も何も、これが本音だ」
「う〜。付き合い悪いぞ、冷血人間!」
「そう思うなら構わないでくれ。お互い疲れるだけだ」
「そんなことない!疲れてもいいから、私はいっちーと話がしたいの!少しでも声が聞きたいの!」
「………は?」
 つばさはいつになくマジメな顔で言う。
 …何なんだ?これはどんな意味で取ればいいんだ?
 そんな事を考えていると、突然つばさが笑いだした。
「ぷっ、あはははっ!本気でこんなこと言うと思った〜?」
「……」
「あっ、騙された?私の名演技にグッときちゃった?」
 …このアホはケンカ売ってんのか…
「はっはっは、悔しいだろ〜」
「悔しくとも何ともない。空しいだけだ」
 これは本音だ。一瞬でも悩んでしまった自分が空しい。
「なんだよー、いっちーノリが悪いぞ〜」
「そんなに喋りたいなら、先輩とかに相手してもらえ」
「え〜、でもさぁ」
「でも、何だ?」
「今、先輩達変な話してるし…」
 そう言って指差す。その先では、話題の人物達が確かに熱く議論している。
 それは一向に構わないが、その内容は、どこでどうズレたかは分からないが、半ズボン少年の是非についてだった。
「……」
「ね?あれは付いていけないよ」
「…そうだな」
「でしょ!そう思うなら相手してよ〜」
 同意を得られたからか、少し強めに言ってくる。
「僕は他人を楽しませる手段なんて知らないし、別に知りたいとも思わない」
「何かつまんない考え方だなぁ…」
「別につまらなくても死にはしない」
「つまらなくても私はいっちーと話ができれば…」
 また真顔になって、さっきと同じようなことを言う。
「…それはバカにしてるのか?」
「え?」
「さっきも聞いた」
「うーん、さすがに二度目はないか。つまんなーい」
「子供じゃないんだから我慢しろよ」
「十六だからまだ子供だもん」
「……」
「あーあ、つまんないなぁ。ひまだなぁ」
 相手にするのも面倒になってきたので、椅子ごとつばさに背を向けた。それでもつばさはしつこく、つまんない、ひまだ、と連呼している。
 溜め息を吐きながら宙を見つめていると、五十嵐先輩がこちらを見て、笑っているのに気付いた。
「…?」
 すると、向こうもこちらの視線に気付いたのか、さらに笑顔を深めると、可笑しそうに話し掛けてきた。


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